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とろける夏









髪を撫でる感触に、ふわふわと心地よい眠りから覚める。そして、ゆっくりと瞬きを繰り返し新八は目を見開いた。

「せんせ、」

目前に現れた銀八と視線が絡むと、緩んだ表情を浮かべていた。



夏休みが始まってから、なかなか会える日が合わず寂しい思いをしていた時、銀八に呼び出された。外は灼熱の太陽が照りつけ、湿度が高い為にじっとりと汗が滲む。汗を掻きながら着いた部屋は、クーラーを掛けひんやりと心地よかった。
しかし、相変わらず物があちこちに散らばっていて溜め息が零れる。この状態に大分慣れてきたが、やはり気になるもので。いつものように片付けを始めようとした時だった。
突然後ろから抱き締められ、そのままベッドに雪崩れ込んでしまった。
そして、何度目かの絶頂を迎えた新八は気絶してそのまま眠ったようだ。


一体どのくらい眠っていたのだろうか。枕元に転がる時計に目を遣るがぼやけて確認できない。なんだか、全てに於いて情けなく感じ溜め息を吐くと顔を覗き込まれた。

「大丈夫か?」
「う…、はい…すみません、」
「ばーか、謝んな」

優しく微笑む銀八にきゅうと胸が高鳴る。恥ずかしくて顔を隠そうともぞりと動いた時、頬に当たる感触に瞬きをした。
どうやら、寝ている間に腕枕をされていたようだ。状況を把握し、途端に全身が火照ってしまう。

「す、すみません…腕、痺れてないですか?」
「あぁ、へーき。それより、可愛くすりすりされんのが堪んなかったわ」

口端をあげてにんまりと笑い、新八の頬にかかる髪を耳にかけ優しく撫でる。その大きな手のひらが撫でるリズムが心地よくて目を瞑れば、近付く気配を感じ瞼を上げる。目前に現れた唇に慌てて瞼を閉じれば、目尻に口付けられた。

「目ぇ真っ赤だな」
「だ、って…、」

壊れるくらいに揺さぶられ、快感に溶けてしまいそうになっていた。その瞬間に、耳元で囁かれた言葉に新八は涙が溢れてしまった。ぎゅうと抱き合い、肌と肌が溶け合いひとつになる感覚に幸せを感じ更に泣いてしまった。
銀八の胸元に擦り寄ると頭上から嬉しそうに笑う声が聞こえる。つられて笑うと、腰の括れをするりと撫でられた。擽ったくて身を捩ると脚の間に銀八の逞しい脚が割り込む。抵抗せずに受け入れ、柔く挟めばにやりといやらしく笑った。

「またお前ん中入っていいか?」
「…、エロオヤジ…」
「仕方ねぇよ、エロいんだもん」
「もんって、可愛くないですよ」

くすくすと笑って言えば笑い声を奪うように噛みつかれた。重なった唇が熱くて、とろりと溶けてしまいそう。忍び込む舌に合わせて脚を動かし膝で弱いところを刺激される。思わず逃げ腰になると、がっちりと掴まれて腰を押し付けられた。

「、んん…」
「新八、」

甘く響く声で名前を呼ばれると、また気絶してしまいそうだ。
銀八は愛し合う時に必ず名前で呼んでくれる。偶に、学校で名前を呼ばれると行為を思い出し慌ててしまう。そんな新八を見て銀八は楽しそうに笑うのだ。
ふと、思い出し口付けたまま笑うと温もりを残して離れていった。ゆっくりと瞼を上げれば、色を含んだ瞳に見つめられ鼓動が早まる。気恥ずかしく感じ視線を逸らすと、少し乾いた手のひらが頬を撫で、親指が遊ぶように濡れた唇をなぞった。

「…何か、欲しいもんあるか?」
「え」
「誕生日プレゼント、」

先程、耳元で囁かれた言葉で今日が誕生日だということを思い出した。髪を撫でられ愛しさが溢れ、甘えるように抱きつく。

「もう、貰いましたよ」
「え、なに?もしかして俺とか?うわぁー恥ずかしいィー!」

にやにやと緩みまくる銀八にくすりと笑う。

「先生からのおめでとうって言葉、嬉しかったです」
「え?…それだけでいいのか?」
「はい」
「お前なぁ、もっと、こう…何かあるだろ?」

特に欲しい物が浮かばず首を横に振る。そんな新八に呆れてか溜め息を吐いたが何かを思い付きにやんと笑んだ。その笑みに新八はひくりと頬が引きつる。

「わかった。じゃあ、お前の言うこと今日一日聞いてやるわ。…ん?そうか、まずは気持ち良くなりてぇか。よし、じゃあ続けるぞ」
「も、むりです…」
「いや、新八はやれば出来る子だろ?まだイけるって」

首筋を熱い舌でぬるりと舐められ肌が粟立つ。快感に目眩が起こり、手を伸ばして求めると銀八が指を絡め手の甲に口付けを落とした。そして、覆い被さり唇を柔く啄んで微笑む。

「誕生日おめでとう、新八」

銀八が与える愛撫や言葉に蕩けてしまいそう。
愛しい人と過ごす誕生日が、こんなにも輝かしくて幸せとは。
堪らなくて、また涙が溢れてしまった。





090812
Happy Birthday Dear Shinpachi^^




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