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坂田家のマミーにありがとう:)






「ねぇ、銀ちゃん」

だらだらとテレビを眺めていた時、小さく呼ばれた。ゆったりと神楽を見やると手招きをする。あぁ?と眉を寄せれば神楽が近付き耳打ちをした。

「今日は母の日アル」

えっへんと誇らしげに伝える神楽を見やり頭をくしゃくしゃと掻いた。母の日と言われても親を知らない銀時には無縁な話だ。そうかと呟き、鼻をほじりながら再びテレビに目を向ける。

「うちのマミーにお礼をするネ」
「あ?うちのマミー?」
「新八ヨ」

料理を作り、掃除洗濯をして忙しなく働く。たまに口うるさく文句を言うけれど、いつも優しく温かく包み込んでくれる新八は万事屋の母親的存在でもあった。

「何すりゃいいんだよ」
「んー、」

新八を思い、喜ぶことを考える。笑顔が見れるようなお礼は何があるだろうか。むむ、と唸って考えていると突然神楽に腕を引かれ驚く。

「あ?おい、神楽」
「銀ちゃん、私思いついたネ」

ニカッと笑顔を浮かべる神楽にここは任せてみよう。向かう先は台所のようだ。

「新八!」

神楽が名前を呼ぶと、割烹着を着た新八が振り向いた。神楽から、銀時を見やり驚き何事かと微笑む。そんな新八を愛おしく眺めていると、背中を尋常ではない力で押された。前のめりに体が傾いて銀時は咄嗟に新八に抱き付く。

「ば、神楽てめぇ!危ねえだろっ」

勢い良く叫ぶと、またもや尋常ではない力で後ろから抱き締められ青褪めた。

「かかか神楽ちゃん、銀さん腰が千切れる…っ」
「わ、銀さん顔色が!神楽ちゃん、力弱めて」
「仕方ないネ。これだからマダオは…」

マダオは関係ないよね、と微笑む新八につられて笑う。そして、腕の力を弱めた神楽に銀時は安堵する。はあ、と息を吐くと新八が怪訝な表情で見上げていた。

「…で、何ですか?」
「あ?あぁ、神楽何してぇんだよお前は」

冷静な口調にひくりと口端が上がる。答えを求め神楽を見やると、ぴょんぴょんと跳ねて楽しそうに笑った。揺れる体が新八も揺らす。

「新八、いつもありがとうアル!お礼として私と銀ちゃんをプレゼントするネ」
「え…、」
「今日は新八の言うことを何でも聞くヨ」
「え、ええ?」

神楽の言葉に狼狽える新八が銀時を見上げる。突然のことで理解していないようだ。そんな新八の頭を撫でて銀時は腕の力を増した。密着する体が気持ちいい。

「今日はマミーの日、だとよ。だから、有り難く受け取れ。まぁ、お前は俺のマミーじゃなくて嫁さんだけどな」

こめかみに口付け、囁くとにこりと優しく微笑んだ。少し涙を浮かべていたことは神楽には内緒にしておこう。可愛い表情に愛おしい気持ちがじんわりと広がった。

いつも、ありがとう。






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