◎
下校時刻もとうに過ぎ、生徒会室には2つの影しかなかった。
「右京。秀への思い入れもほどほどにしておきなよ」
「は?なんだよ、今更」
「冬真くん。誤解したみたいだよ」
「あのガキか。誤解したきゃすればいい。それで別れんならこっちとしては願ったり叶ったりだ」
「馬鹿だなぁ。冬真くんがもし別れるって言ったとしても、秀が納得するわけないだろ」
「……秀護さんはあんなののどこがよかったんだ」
「冬真くんは可愛いよ。素直だし純朴だし」
「あんな生意気なガキがか」
「右京は冬真くんのことよく知らないからそんな風に言うんだよ」
「やけにあのガキをかばうな、充」
「ん?ヤキモチ?」
「アホか。今更ヤキモチもクソもあるかよ」
「はは。まぁ確かにね」
するりと伸びた充の手が右京の腕を掴んで引き寄せる。
「帰んねぇのか」
「帰るよ」
充が簡潔に返事をすると同時に、どちらからともなく唇を合わせた。
END.
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