◎*
「4人には沙汰を待つように通達してあります」
「そうか」
「いかがなさいますか」
「そうだな…」
ぱらりと書類を捲る。
ここは『総帥室』。
充と2人で話し合っている内容は、冬真を突き落とした4人の処遇について。
面倒臭いし、さっさと退学にしちまうか…
「私にいい案がございますが」
ニヤリと笑う充は心底楽しそうだ。
こういう人を貶める企みが好きな奴だからな…
「何だ」
頬杖をついて促す。
「1ヶ月の停学処分はいかがですか」
「1ヶ月?」
表情を変えずに見据えていると、悪巧みをするように笑いながら続けた。
「4人それぞれの親に事の次第を説明し、4人は1ヶ月間自宅で謹慎させます」
「ほぅ…」
それには俺も目を光らせる。
子供の所業は全て親の世界にも影響する。
今回の事が知れれば、親も黙ってはいられないだろう。
しかも、我が子が手を出したのは『煌咲』の人間だ。
世界にまで羽を広げる煌咲に逆らえる者は少ない。この学園内の家柄にはいないだろう。だからこそ俺が総帥なのだ。
「いいだろう。お前に任せる」
「かしこまりました」
一礼して出ていく充を見送り、椅子の背もたれにゆったりと身体を預ける。
おそらくあの4人はもうこの学園には戻ってこないだろう。戻れるだけの度胸があれば別だが。
これも計算のうち。学校側から退学を言い渡すよりも自主退学の方がこっちの体裁もいい。
「さて、冬真を迎えに行くか」
椅子から緩慢に立ち上がり、教室にいる冬真を迎えに行くべく総帥室を後にした。
数日後、4人には1ヶ月停学の旨が告げられ、停学から1週間後、4人から退学届けが提出された。
END.
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