Honey Days
12*
「…なぁ秀護」
「ん?」
胸元にかかる吐息にムラッとしかかる俺はどれだけ欲求不満なんだと自嘲する。
「イライラとかなくなった?」
「は?」
「ほら、普段タバコを吸わない人が吸うときってストレスとか溜まってるときだって聞いたことあるから…」
「!」
おずおずと見上げてくる冬真を目を見開いて見返す。
そういえば吸ってるところを見られたんだった。
隠してたことの後ろめたさもあって苦笑してしまう。
「あっ、それとも普段から吸ってた?俺といるときは吸ってるところを見たことなかったから…」
申し訳なさそうに眉尻を下げる冬真の頭を撫でる。
「いや、普段はほとんど吸ってなかったよ。今回はちょっと渇いてたからな」
「?」
よくわかっていない顔をする冬真にふっと笑いかける。
「悪かったな、隠してて」
「いや、それはいいんだけど、タバコは身体に良くないからあまり吸わない方がいいと思う」
「あぁ。冬真が傍にいれば吸わねぇから一生傍にいろよ」
「っ!」
瞬く間に赤くなる冬真の顔。
「な、なんだよそれっ」
ぷいっと顔を逸らすくせに、俺の胸にすり寄ってくる。
「照れんなよ。可愛い奴だな」
「照れてないっ」
ぷくりと頬を膨らませて怒っていても、俺からすれば可愛いだけだ。
拗ねてしまった冬真を宥めながら、かけがえのない宝物を腕の中に閉じこめた。
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