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Honey Days
11

なにも言えずに身動きできずにいると、静かな室内にインターホンの音が響いた。

「あ」

「ちっ」

ちょっ、この人、今 、舌打ちしたんですけど?!

「たぶん充だ」

俺の頭をくしゃりと撫でて立ち上がると、リビングを出ていった。
微かに扉の開く音が聞こえ、続いて人の話し声らしきものが聞こえてくる。

「あ、会議の時間か」

1人納得していると、リビングの扉が開いた。
秀護が戻ってきたのだ。

スタスタと真っ直ぐ俺の方へ向かってくる秀護に目を瞬かせる。
目の前までやってきた秀護を見上げると。

「むぅっ?!」

キスされた。
それはもうぶちゅっと。ぶちゅうっと。

両手で頬を挟まれていて顔を逸らせず、手足をバタつかせる。

「ん"ーっ、ん"ん〜っ…ぷはっ!」

唇が離れると、すぐさま大きく息を吸う。

頼むから前振りなしにこういうことをするのはやめてくれ…

非難を込めてじろりと睨む。

「なに?」

「これから1時間ほど出てくるからいい子で待ってろよ」

「いらんことしてねぇでさっさと行けっ!」

げしげしと秀護の太腿辺りを蹴りつける。

無意味にちゅっちゅちゅっちゅしやがって!
じと目で睨む俺に気を悪くした風もなく、ニヤニヤ笑っている秀護が憎らしい。

「ひっでぇ態度だなぁ、おい」

ひでぇとか言いながらニヤつくなっ!

「もういいからさっさと行けよっ」

「はいはい」

喉の奥でクツクツ笑いながら俺から離れ、くしゃりと俺の頭を一撫でしてリビングを出ていった。
すぐに玄関扉の開閉音も聞こえてくる。

ばふんと身体を横に倒し、ソファに横になる。

「ほんと恥ずかしい奴…」

頬が赤くなるのがわかり、誰も見ていないのに顔をクッションに埋めて隠した。

とりあえずすぐキスしてくるのをやめてほしい。

そんな事を思いながら目を閉じると眠気に襲われ、あらがうことなく意識を手放した。




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あきゅろす。
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