Honey Days 8 「ふぁぁ…」 「冬真、眠いの?」 「ん?あぁ、うん。ちょっと」 広い講堂の一角。 映画館のようなふかふかな椅子に座り、あくびをすると、隣に座る悠に声をかけられた。 今は終業式の真っ只中。 校長の長い話の最中だった。 「ぅ〜、少し寝る…」 ぐたりと背もたれにもたれかかり、目を閉じる。 悠は隣で苦笑していた。 ちなみに涼也は俺の隣ですっかり寝入っている。朝練で朝が早かったから、というのが涼也の言い分。 俺はというと、昨日秀護のバカに好き放題され疲れきり、いつもと同じようにちゃんと寝たはずなのに寝足りなかった。 目を瞑ればすぐに睡魔はやってきて、夢の世界へ片足を突っ込んでいたその時。 「きゃーーーっっ!!」 「わわっ!なに?!」 大音量の悲鳴に引き戻された。 キョロキョロと辺りを見回すと、身を乗り出している生徒があちこちにいる。 「なに?!」 「生徒会の話だよ」 再び口にした疑問には隣から答えが返ってきた。 顔を向ければ、悠も少し背筋を伸ばして前を窺っていた。 「う〜、うるせぇ…もう生徒会か?」 逆隣からの寝ぼけ声に顔を向ければ、涼也が顔をしかめて目をこすっていた。 「らしいよ。俺も起こされた」 苦笑して涼也に返す。 『静粛に』 マイクを通した静かな声に辺りが一瞬にして静まる。 おぉ、すげぇな。 前の舞台へ視線を向ける。 あ、会長だ。 舞台中央に立つ会長が注意事項なんかを話し出すと、さっきの校長の話とは打って変わってみんな真剣に聞いていて、ひくりと口端が引きつった。 校長、可哀想に… まぁでも静かだし寝直そう。 ぽすりと背中を背もたれへ預け、目を閉じる。 今度も睡魔はすぐにやってきて、今度こそ夢の世界へ旅立てた。 [*前][次#] [戻る] |