Honey Days
6
はあぁぁぁぁっ?!
「あ、あの、その王の名前を聞いていい?」
それに答えてくれたのは悠だった。
「煌咲秀護様だよ」
ぎゃあぁぁっやっぱりあいつで間違いなかったみたいーーっっ!
「違うから!付き合ってないから!」
「じゃあどういう関係?」
力説すれば、間髪入れずに涼也に返される。
キスされたとか、告白されたっていうのは言いにくいからそれ以外の事を話す事にした。
「俺と秀護はただのルームメイトだよ」
「「秀護?!」」
さらりと俺が言うと2人は目を見開いた。
え?俺、変な事言った?
「冬真…お前、王の事名前で呼んでんのか…?」
恐る恐るといった風に涼也に聞かれて、俺は素直に頷く。
「うん。そう呼べって言われたから」
「つーか、名前もだけど王と同室ってのがありえないんだけど…」
「うん…」
ぽかんとする2人に俺はどうすればいいのかわからず、おろおろするばかりだ。
え?俺って変なの?でも、名前も同室も向こうが言ってきた事だし!
「じゃあやっぱり妃っていうのもあながち間違ってないんじゃ…」
「でも、冬真はそんな感じが全くしないよ?」
「もしかして、王の片想い…とか?」
「えっ?!王の?!」
「だって自分の部屋に住ませて、名前で、しかも呼び捨てだぜ?!前代未聞だっつの!加えて、妃宣言!」
「だ、だよね…」
2人して何、内緒話してんだ?
仲間外れか?!
それにしても、秀護の奴わけのわかんねぇ事を言いやがって!
しかも、全校生徒の前で!
俺の学園生活を崩壊させたいのか?!あいつは!
絶対文句言って、あの言葉を撤回させてやる!
「冬真」
「ふぇ?」
また、俺世界へトリップしてた俺は不意に涼也に名前を呼ばれて変な声を出してしまう。
がしっと肩を掴まれ、真剣な顔で見つめられる。
え、何?
「お前…もぅ王に喰われたのか?」
は?喰われる?秀護に?
「いや、一応五体満足だけど…」
「そうじゃなくて、ヤられたのかって事だ」
は?ヤられる?何を?
意味がわからなくて悠に視線をやれば、悠も真剣な顔で俺を見つめていた。
「つまり、セックスされたのかって事だ」
セ…?
「セックスーーっっ?!」
顔を真っ赤にして叫ぶ。
だって、セックスって、セック…
ぎゃあぁぁぁーっ!
わたわたと慌てだした俺を見て2人は察してくれたのか俺を宥めてくる。
「とりあえず落ち着け。わかったから」
「そうだよね、してないよね」
う゛ぅ…してないとかそういう話をしないでくれ…
男同士でするしないっておかしくないですか…
落ち込む俺を余所に2人はまた内緒話をはじめる。
「あの王が手を出してないなんて…」
「本気…って事になるよな、やっぱり。まぁ部屋に入れたり、名前呼ばせたり、妃宣言でも本気っぽいのはわかったけどな」
「うん、でも冬真を遊び相手にされたりしたら嫌だしね」
「そうだな」
お?話がまとまったのか?2人して頷きあってるぞ。
「冬真」
「何?」
呼ばれてこてんと首を傾げる。
「いいか、王…総帥ってのは、容姿・成績・家柄・カリスマ性、その他諸々で選ばれる。しかも、今回の総帥は歴代でも断トツって話だ。それに、総帥に逆らえる奴はいない。だから、お前に何かあった時、俺らにできる事はないかもしれないけど相談くらいには乗れるから、何かあったらすぐ言えよ!」
真剣にそう言う涼也にうんうんと頷いている悠。
お前ら…いい奴だな!
何か泣きそうだよ俺。
「おぅ、サンキュー!」
にっこり笑って礼を言えば、2人ともにっこり笑い返してくれる。
あぁ、俺、いい友達がいて幸せだよ!
その後、俺らがロッカールームを出ると廊下には人だかりができていた。
何かひそひそ言っているみたいだったけど、涼也も悠も気にする事はないと言っていたので無視して3人で教室に向かった。
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