Honey Days 14 登校して早々、俺は自分の机に突っ伏していた。 (帰りたい…) 原因は、やはり首のキスマーク。 秀護と一緒にいた時は、まだあからさまに俺を見てくる目はなかったが、1人になった途端、不躾な視線に晒された。 直接何か言ってくる奴はいないが、小声で何かを言っているのは雰囲気でわかる。 「冬真、おはよう」 「おっす」 悠と涼也に声をかけられて、顔を上げる。 「はよー…」 「どうしたの?大丈夫?」 心配そうに見つめられて、はは、と乾いた笑いを漏らす。 「朝から疲れてんなぁ」 ガタンと俺の前の席の椅子に座りながら涼也が言う。 「さすがにこれだけあからさまに見られちゃな…」 「あぁ、昨日、王と2人して休むから、1日中なにしてたんだって噂になってんだよ」 「噂?」 「んー、つまり…」 「り、涼也っ!」 涼也が説明しようとしたら、慌てて悠が止めに入った。 「悠?」 俺が悠を呼ぶと、悠はバツが悪そうに視線を泳がせる。 なんだ? 「教えといた方がよくないか?」 「でも冬真が…」 え、俺?まぁ俺に関する噂なんだろうし、関係あるだろうけど。 「悠、俺は大丈夫だよ」 にっこり笑ってやると、まだ少し心配そうだけど納得してくれたみたいだ。 「んー、だから、王と冬真が1日中セックスしてたんじゃないかって。ほら、首ンとこに痕つけてきたから信憑性がでちゃってんだよ。昨日、3階でそれを見た生徒もいっぱいいたし」 小声で涼也に説明されて、俺は固まってしまった。 俺と秀護が1日中セックスしてたって? このキスマークが証拠になってるだと? 次第に沸々と怒りが込み上げてくる。 「と、冬真?大丈夫?」 悠が心配そうに声をかけてくるが、とても大丈夫とは言いがたい。 「……ちょっと電話してくる…」 ガタンと席を立って、廊下に出る。 スタスタと歩きながら携帯を取り出し、短縮を呼び出し、通話ボタンを押す。 2コールで相手が出た。 『どうした』 「…話がある。ちょっと出てこい」 『話?』 「3階と4階の間の階段の踊り場で待ってるから早く来い」 『は?おい…』 ブツッ 全部聞き終える前に切って、踊り場へ向かう。 [*前][次#] [戻る] |