Honey Days
8
会議室は、真ん中に大きいテーブルが置かれ、ぐるりと椅子が囲んでいる。部屋の壁際には鍵付きの棚があり、中にはぎっしりとファイルや本が入っている。角にはコピー機も置いてあった。
秀護はテーブルを囲む椅子の中で1番立派な椅子に当然のように座った。
おそらく、あれが総帥の椅子なのだろう。
俺も適当な椅子に座り、固まっている悠と涼也に椅子を勧める。
「ほら、2人とも座れよ」
「う、うん…」
ぎこちなく座る2人を待って、切り出す。
「悠、ノートは?」
「あ、うん。えっと…はい、コレ」
悠が持っていた手提げ鞄から6冊ノートを取り出し、差し出してくれる。
「サンキュー。すげぇ助かる」
にっこり笑うと、ぎこちないながら笑い返してくれた。
ノートを受け取って、秀護に向いて声をかける。
「なぁ、あのコピー機使っていいか?」
「あぁ。紙は入ってると思うぜ」
「サンキュー」
ガタリと席を立ち、コピー機に向かう。
この部屋、なかなか便利だな。
「冬真」
「何だよ」
ガタガタとノートをコピー機にセットしながら応える。
よしっ、このボタンを押せばOKっと。
「どっちが『悠』だ?」
「は?」
振り向くと、あからさまに悠が緊張していた。
まさか秀護が自分の話題を出すとは思わなかったのだろう。俺もびっくりだ。
「あーと、こっちの可愛い方が悠で、こっちが涼也」
こっち、とそれぞれの座っている椅子の背もたれに触って紹介する。
「か、加賀悠ですっ!」
「坂巻涼也です」
ぺこりと頭を下げて、それぞれが自己紹介した。
秀護はそんな2人を品定めでもするように見ている。
「そんなに見てやるなよ」
ばしっと秀護の肩を叩くと、悠と涼也が目を見開いた。
された本人は楽しそうに俺を見上げてくる。
「お前だけ見てろって?」
「バカな事言うなら先に部屋帰ってろっ!」
ガンッと秀護の座る椅子の足を蹴るが、自分の足を痛めただけだった。
い、痛ぇ…
「バカ、座ってろ」
「まだコピーとってんだよ」
足をさすりながらコピー機に戻り、ノートを入れかえてコピーをとる。
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