[通常モード] [URL送信]

中人日乱
1.


※WJ本誌ネタバレを含みますので、コミックス派の方は閲覧注意☆
中人日乱で、若干暗め。微裏要素を含みます。



もしあたしが死ぬのなら、息絶えるその瞬間は愛おしいあのひとの腕の中で…。
ずっとそんな日を夢見てた。
…あの絶叫を聞くまでは。



氷輪丸が貫いたのが、誰よりも大切に思っていた幼なじみだったと知ったその時、揺れた霊圧。歪んだ瞳。
張り裂けんばかりの絶叫。
怒り、苦しみ、絶望に、一瞬にして捕らわれた。
そんなあのひとをあたしは、霞む視界の向こうに見つめていた。
貫かれた雛森も。
貫いたあの子を受け止め、絶望に突き落とされたあのひとのことも。
憐れだ…と。
思いながらもあたしは、どこか羨ましくも思っていた。
あのひとの手に掛かり、その腕の中で息絶える。
(この命の終焉としては悪くない)
そんな風に思っていた。
…尤も、あたしに限ってのことだろうけれど。


だけどそんな幕引き、あのひとにしたら堪ったものではないだろう。
今正に事切れんとする部下を腕に、その命の顛末を見届け血まみれになる。
あのひとにしてみれば、そりゃあもう…やりきれないに違いない。
だから諦めざるを得なかった。
それでも願う。
この命果てるその瞬間を、あの子のように…このひとの腕の中で迎えて、このひとに見送って欲しいと願ってしまう。…どうしても。


ああ、今この瞬間にこの鼓動が止まってくれたらいいのに、と。







[次へ#]

1/2ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!