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ファンタの味
第12話






あれから1週間――…


いつもと変わらぬ日常
いつもと変わらぬ部活

それに溶け込むかのように桃城は日常を送る
そしてリョーマも、何事もなかったのかのように…部活なんてものもなかったのかのように…ただ平凡に日常を過ごしていた。


あれから状況は進展せず

まだ二人は離れ離れ
ただ変わった事と言えば?

桃城のカリカリがおさまり
リョーマの本心を知った事

けれど逆に

リョーマは自分の想いを抑え桃城を諦める事になってしまった






(…全く……)


いつも通り変わらぬ日々を過ごす桃城に不二は心中にてため息を漏らす

あれほど言ったのに自ら動こうとしない桃城に呆れたのだろう…

けれど例え呆れたとしても


大切な後輩だし
大切な仲間だから……





バチンッ





刹那…
乾いた音がコートに響いた

ラリーをしていた者、球拾いをしていた者、雑談をしていた者、全ての人が音の発生源へと視線を注ぐ

そこでは腕を振り切った後であろう不二と、左頬を赤く染めた桃城が立っていた


「こんな所で……なにやってるの?」

「不二…先輩……」

「こんな事やってる暇……あるの!?
やることあるんじゃないの!?」


やること……


そうだ


俺にはやることがあるんだ


越前の所にいって


あいつの苦しみや悲しみを


無くしてやらなきゃいけねーんだ……



思うが早いが桃城は校内へと走っていった
まだリョーマが校内にいるという確信はない

野性の感…

例えるならばそんなものだろう
今までにないくらい全力疾走する
タイムを計れば自己ベスト更新だと思う


1-2の教室

資料室

多目的室

トイレ…


リョーマが入りそうな全ての教室を回ったけれどそこには居なく居るとすれば残った生徒や用事を頼まれた生徒だけだった


「くそっ、何処に居るんだよッ!!」


拳を強く握り締めて壁に振り当てる
痛みが拳から骨へと伝わっていく……


痛み…


「……俺ってやつは」


壁にこうやって振り当ててこんなにも痛いんだ
あの時黙って殴られた越前はどれだけ痛かっただろうか……

身も…

心も……


「チッ、こんな所でいつまでもグズクズしてらんねーな、してらんねーよ」


桃城は高まった想いを沈める

慌てていれば見つかる人も見つからないただテキトーに捜していてはいけない…

どこの教室にもいない

なら他は

家に帰ったとかか?

いや、何かが引っ掛かる

俺はどこか捜していない所がある

どこだ――…?


「っ屋上!!」


屋上…
俺達の思い出が多分1番多いだろう場所
もし越前がまだ俺の事を想ってくれているなら…
いるかもしれない――








駆ける



ただひたすら駆ける



大切な…



愛しい人を求めて――







バタンッ!






「越前っ!!」


徐々に開けていく視界
屋上には一人の人影……

桃城はその影に向かって走っていく――…












後書き




リョーマがでてこねぇぇぇ!!


リョーマが2話連続ででてこないとかあたしの中では前代未聞


何故だか文字を打つ速度がどんどんと下がっていく気がします


やっぱり最終回を迎えるのはすこし悲しいですね




08/04/21

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あきゅろす。
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