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10万筆頭お礼小説:携帯獣+αと逝く
可愛いは正義。

であるからして、思わず言ってしまった私は悪くない。

「三蔵、顔がキモい」

「っ!」

己の醜態に気付いたのだろう、瞬く間に崩壊した顔面から常の仏頂面に戻る。

だが腕の中のピカチュウを離さないところから愛の深さが伺える。


「三蔵、もう既に手遅れだ」

何がとは言わない。

「っち。で、これからどうする」

「スルーしやがった。そうだなぁ、とりあえず人の居る所を探そうか」

「妥当だな」

これから必要になる諸々の補給と現在地の把握をしたい。

ん?ちょっと待て、それ以前に私たち今……っ!

「三蔵、やばい」

「何だ」

「金が無い」

「!」

そう、私たちは今無一文なのだ。

これまでの旅の資金は全て三仏神のカードから支払われていた。

しかしそのカードが異世界においてまで使えるとは考えにくい。

イコール、私たちは以下略。

「そこらへんのトレーナーから巻き上げればいいだろ」

さりげなく外道だなこの男。

私も同じこと考えだが。

「いや、多分それだけじゃあ足りない」

「何故だ」

「おそらくなんだが、出てきたポケモンの種類からしてここは序盤の町の近くだと思うんだよね」

「成る程、巻き上げたところで高が知れてるわけか」

「正解。だから序盤で手っ取り早く金を稼ぐ方法と言えば……」

「ジム戦か。面倒臭ぇな」

「激しく同意するが仕方ないね」

「同時にフラグ回収が出来そうなのが唯一の救いだな」

フラグ回収って言葉が当たり前のように出るこの男。

本当に残念な美形である。

「同時に面倒な事態に巻き込まれる可能性が高いが仕方ないね。とりあえず動こうか」

「っち、面倒臭ぇ。飛ぶぞ」

「賛成」

序盤で空を飛ぶを使うというチートおいしいです。

飛行要員であるボーマンダ以外のコ達をボールに戻す。

同様に三蔵もフライゴン以外を戻そうとした。

が。

「…戻れ」

「ぴぃか!」

ピカチュウがボールに戻らない。

胸元にしがみついていやいやと首を振っている。

さすが寂しがりや。

「…戻れっつってんだろ」

おぉ!珍しい。三蔵が困っている。

天上天下唯我独尊たるこの男の貴重な困り顔である。

そこそこ付き合いの長い私ですら数えるほどしか見たことのない表情。それを引き出すこのピカチュウ、やりおる。

「ぴぃか…」

さらにピカチュウのうるうる上目遣いの攻撃!

「っ!……………………………………ち、落ちるなよ」

「ちゃあ!」

敗者、三蔵。





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あきゅろす。
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