10万筆頭お礼小説:携帯獣+αと逝く
やはり伝説は強かった。
「はっ!」
。考えが恐ろしいところに飛んだ。
まずいまずい。
こんな幸せな状況下で死んでたまるか。
しかし何か忘れているような。……あ。
我が子達に魅了されすっかり忘れていたのだが、そういえば三蔵から反応が無い。
どうしているのか。彼がいるだろう背後を振り返るt………………見なかったことにしよう。
あれは誰だ。
私は知らない。あのようなデレデレに緩んだ顔をした男を私は知らない。
今のは見間違いだ。いや、そうに違いない。
願いを込め、もう一度振り返る。
夢であるようにと願った光景は──────やはり現実であった。
その男は、彼の手持ちであるポケモン達に囲まれていた。
トドゼルガ、サーナイト、ゴウカザル、フライゴン、バンギラス。
我が子達に劣らぬ怱々たる面子である。
そして彼の腕の中に抱かれているのは─────ピカチュウ。
もう一度言おう。
ピカチュウ、である。
想像して欲しい。あの最終鬼畜生臭坊主玄奘三蔵の腕の中に、ポケモンのアイドルたる存在のピカチュウ。
そのピカチュウにスリスリ甘えられてヘヴン状態の以下略。
はっきり言おう。恐怖以外の何物でもない。
ここで読者の皆様は疑問に思うだろう。
何故三蔵の手持ちにピカチュウがいるのか。
話せば少し長くなる。
それは三蔵がハートゴールドをプレイしていた時だ。
チャンピオンを倒し、カントー地方のバッジを全て集め、いよいよシロガネ山への進出を果たした三蔵。
そしてついに頂上で伝説と見えた。
原点にして頂点。
初代主人公にして最強の存在────レッドである。
彼が最初に出すポケモンは、ご存知黄色い悪魔ことピカチュウ。
これに対し、三蔵は切り札であるバンギラスを繰り出した。
相性で言えば圧倒的に三蔵が有利。何の障害もない。
しかし。
バンギラスはピカチュウのアイアンテールによって一撃で鎮められることとなった。
バンギラスのタイプは岩・悪。鋼タイプの技であるアイアンテールは効果は抜群だ。
運悪く急所に当たったのだが、三蔵のバンギラスはただのバンギラスではない。
廃人作業により個体値努力値性格共に極められた至高の存在だ。
そのバンギラスが、たかがピカチュウの攻撃の前に一撃。
これにショックを受けたのか、この後三蔵はレッドに敗北。
戦闘終了後、真っ白に燃え尽きた男の口から漏れた一言。
「黄色い悪魔を超える」
そうして生まれたのが、おそらく彼の腕の中にいるピカチュウである。
個体値5V。性格さみしがりや。電気玉保持。
三日間完徹して生み出された、三蔵の執念の賜物である。
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