10万筆頭お礼小説:携帯獣+αと逝く
ポケモンやる人は必ず一度は夢見るそれ。
だがいくら歎いたところで始まらない。
「とりあえず近くの町まで行k……っ!」
「どうした」
どうしたもこうしたもない。
まさか、いや、そんなはずは。
ふとのぞき見た鞄の中。
そこには非常に見覚えある───
「………こ、れ」
「っ!」
震える手で怖々取り出したのは、紅白が鮮やかな球体────モンスターボール。
これが、鞄の中に在ったのだ。それも複数。
さらに色の違うそれも───紫色の、これまた見覚えのある───二つ入っていた。
硬直していた三蔵もその可能性に気付いたのだろう、己の荷物を荒々しく探り───それらを見つけ出した。
───ごくり
鳴った咽はどちらのものだっただろうか。
紫闇と眼が合った。
頷く。
互いに思うことは一つ。
かぶりを振り、一筋の希望を込め。
「 一 球 入 魂 !」
「雰囲気ぶち壊すんじゃねぇ!」
投げました。
美しい放物線を描く球体は途中で口を開け赤い光を吐き出す。
それは地面に向かい、形をを作った。
そしてそれは現れた。
大きさは2メートルほどだろうか。
触り心地の良さそうな白と赤茶の毛並み。
犬と獅子の中間のような容貌。
キラキラ輝く黒耀石の瞳がひたと私を見つめ、ふさふさのしっぽがわさわさ揺れている。
まさか、このコはまさか。
「……幸、村?」
恐る恐る呼ぶのは我が子の名。
期待と不安が混じり、じわりと汗が滲む。もしや。
と、
「ゥオン!」
「おぅあ!」
いきなり突撃してきた。
倒れるかと思ったがそれは絶妙な力加減で、ふかふかの毛並みに埋まることに留まった。
そのコはキュンキュン鳴きながらぐりぐり頭を擦り付けてくる。
千切れんばかりに振り回されるしっぽ。全身で表現される喜び。
間違いない、このコは。
「うちのコ!!うちのコぉぉぉォォっっ!!!」
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