10万筆頭お礼小説:携帯獣+αと逝く
お互い二度目になるとだいぶ馴れた。
前略、天国にいると信じたい我が従姉よ。
「ガラス玉ひとつ落とされた…追いかけてもうひとつ落っこちた…」
「ひとつ分の陽だまりにひとつだけ残んのは御免被る。つか無駄にどん底の物語フラグ建てるのはやめろ」
「無関係なフラグの一本や二本建てるぐらい許されたっていーだろ。だって三蔵、目ぇ覚めたらこれだぜ?」
「……ちっ、確かにな」
前略、あの世でも傍若無人な態度極まってるであろう我が従姉よ。
目が覚めたら、 叢のど真ん中にいました。
前触れなんてそんな優しいものは存在しなかった。
いつもの通り襲い来る妖怪共をスプラッタにして近隣の町に到着、宿に入る。悟空と悟浄の戦争に巻き込まれないよう気配を消して夕飯を食べ入浴、就寝……しようと思ったら某生臭坊主の襲撃を受け、あれやこれや格闘の末敗北、意識を失った。
「要はてめぇのせいか」
否定はできない。この奇っ怪な事態の原因の九割九分は私の珍妙体質に間違いないだろう。
だが。
「三蔵までくっついてきたのはどっかの誰かさんが昨晩盛って同衾したせいだろ」
「………」
つまりは自業自得。私だけが責められる謂れはない。
「あと三蔵」
「あ?何だ」
「いつの間にやら服着てるんだが。自分自身で着た記憶が皆無なのに」
「……言われて見ればそうだな」
そう、昨晩はあれやこれやのせいで服を着る気力も体力も無く全裸で就寝したのだが、見れば二人とも常の恰好である。
さらにご丁寧なことに着替え等の生活必需品が入れてある鞄まで近くに転がっている。
「え、何この無駄なサービス精神?確かに真っ裸でトリップとかオワタ以外の何物でもないけど、それ以前にトリップしている途中にトリップとか何それ地獄」
「同感だな。そもそもここは何処だ」
「情報が少なすぎてなんとも言えん」
周囲を見渡して視界に入るのは青々と生い茂る叢と澄んだ青空のみ。
これだけではこの世界が私の知る二次元の世界か、はたまた全く知らない異世界か検討もつかない。
ん?叢?そういえば叢が結構重要な役割を果たしている作品があったような。はて何だったか。
ガサッ
「「!」」
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