忘れ物
5.-2-
「まぁ〜、2人共、仲良しさんね〜。」
期待は見事に裏切られた。
床の上を引きずられながら、ヤムチャは思った。
オレ、死んだかも…。
どうせなら、気を消してコソコソやっている時に、ひと思いに殺って欲しかった。
何故彼は、あの時自分を無視したのだろう。
ぼんやりとそこまで考えて、気づいた。
ベジータ お前、覗いてるオレより、泣いてるブルマを優先して―――…?
自分を引きずって歩く男の顔を見上げる。
その表情は、普段と何ら変わらない。
けれども、内面は。
ヤムチャは、先程感じた気持ちを思い出した。
そうか、お前はやっぱり――…
ヤムチャがベジータに笑いかけようとしたのと、ベジータが重力室の扉を開けたのが、同時だった。
「さて…最近相手がいなくて体がなまっているからな。まずは50倍くらいの重力からいくか。」
ヤムチャは、半笑いのまま固まった。
うわあああ―――――、
助けてくれぇぇぇ――――…
彼の叫びは、無情にも扉の閉まる音でかき消された。
その後。
ボロボロのヤムチャがやっと解放されたのは、翌日、太陽が沈んでからだった。
End.
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