忘れ物
4.-2-
 
楽しそうに笑うブルマと、もう夫婦になって何年も経つのにひどく赤面して慌てまくるベジータを見届けると、ヤムチャは静かに立ち去った。
 
 
 
 
なんだ。
なんだかんだ言っても、仲良くやってんじゃないか。
 
心配した自分がなんだか馬鹿らしくなった。
 
しかし、まさかあのベジータがあんな行動をとるとは…。
 
再び長い廊下を歩きながら、先程の彼の優しい仕草や声を思い出し、ヤムチャは込み上げてくる笑いを必死でこらえた。
 
変わったな、あいつ。
 
冷酷な目をした彼を、なんだか遠い昔の事のように思い出す。
 
なにより、ブルマも幸せそうだった。
 
自分まで温かい気持ちになりながら、ヤムチャは最初にやって来た部屋に戻った。
 
 
「あらヤムチャちゃん、ご用事はすんだ?」
 
ブルマの母が出迎える。
 
「いや…なんか、取り込み中みたいで。すいません、これ ブルマに渡しといてもらえますか?」
 
そう言ってヤムチャは返しそびれたハンカチを差し出した。
 
夫人はそれを受け取って言う。
 
「わかったわ、きちんと返しておくわね〜。せっかく来てくださったのに、ごめんなさいね。」
 
「いえ、いきなり来たのはオレですから。」
 
それじゃ、と言って立ち去ろうとしたヤムチャを、夫人は引き止めた。
 
「そうだわヤムチャちゃん、今ね、おいしいお茶を淹れたんだけど お飲みにならない?」
 
彼女が淹れる紅茶は本当においしい。
それをよく知っているヤムチャは、遠慮なくいただく事にした。
 
「うふふ、こんないい男と2人でお茶ができるなんて嬉しいわぁ〜。」
 
夫人はそう言って、ヤムチャの分のカップを取りに行った。
 


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あきゅろす。
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