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117. 午前十一時二十七分
ぷはっ と息継ぎをして川から顔を上げる。うわ、べしょべしょじゃん!すっげー服皮にしがみついてんじゃん!!キッと私はその原因の張本人を睨みつける。

「ちょっと!チカさん、いきなり何すんですかッ!!!!」

と凄みをつけて睨むが、その本人はどこか上の空。更に「突き落してやるぞ!」川に。と付け加えても何処か上の空。なんかジーッと私を見ているだけで生返事な言葉しか返ってこない。
・・・なんか変な空気だから試しにバシャンとチカさんの顔へ水を叩いてやった。瞬間、チカさんがハッとしたような顔になったので よし!と思って自然と笑顔になった。何が よし! なのかは知らんが。
そのまま水をチカさんへ叩き付けて 次はチカさんがびしょぬれになる番だッ! と挑戦状を叩きつけて チカさんの腕をぐっと掴み、川へドシャーンと引き落す。何か変な音がしたが、チカさんが顔を上げる時に顔に何も傷など付いてなかったのでよかった。
チカさんは全身びしょぬれのまま私を見て(あぁ、そう言えば高いな、チカさん。)、ニッと笑った後、仕返しとばかりに私の腕を引っ張って川へ引き落した。
顔が川底(石ばかり)に突き落されそうになったので、慌てて空いた腕でその衝突を防ぎ、川底に肘をついて私の腕を引っ張っているチカさんの手首を掴み、川底へ引き落した。

しかし、そこでチカさんが私の真正面にいて、そのまま落とすとチカさんが私の背中へ落ちる事を忘れていた。

やっべぇ と瞬時に思ったが、バシャン!と水しぶきの音がしただけで背中と額には何の痛みも衝突もない。
あれ?と思うと同時に息が辛くなって頭を上げると、そこには何もなく、頭頂に何かが当たると言う事がなかった。
顔を拭って息を吸うと同時に目も拭って ずっと閉じていた目を開ける。まだ水が滴ってたので視界が ぼやーっ とする。なんかチカさんの銀髪と眼帯らしきものが近くに見えるような気がするなぁと思いつつ視界をクリアにすると、チカさんの顔がドアップに映った。

「・・・」
「・・・」

そのまま無言で…と言うか どうコメントしたら返したらいいのか分からないので、とりあえずチカさんの反応を待つ。しかし一向に返されない。
仕方が無いので、「隙あり!」とばかりにチカさんへ水しぶきを浴びさせたら、それを交わされて、額に何か掴まれる感触と共に何か柔らかい感触がした。
あれっれー?と現状が分からなく、とりあえず現状を整理していたら、チカさんの 喉で笑うような笑い声が上から聞こえてきた。

「手前ぇの方が、不注意が 過ぎてんじゃねぇのか?」

クックック と笑う声が聞こえる。そういやチカさんの胸みたいなところが額にくっついてるよーな。チカさんの足が視界に見えてるよーな?



なんか分からなかったので、また「隙あり!!」と言ってチカさんへ水浴びの攻撃を仕掛けた。





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あきゅろす。
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