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127.
「………チカさん」
「おう、何だ?」
「ワタシ ナンカ アノ二人 コワイ」
「そうかぁ?俺は別に何とも思わないけどなぁ。」

チクショウッ!!何でこの人は こんなにも上機嫌で木割ってんだよっ!
そんな心の叫びを山の中に轟き響き渡せたかったが、寸での所で何とか引き止めた。
そう、今 私の後ろでは、黙々と何やらよからぬようなオーラを纏って作業している政宗さんと幸村さんがいるのだ。主に私にとって好ましくない印象のオーラ。
何故だッ!何故、幸村さんと政宗さんはあぁまでして黙って作業をしているのだッ!全く先程までは別人じゃないかッ!!!さっきまでの元気はどうしたんだ!さぁみんなオラに元気を分けてくれハッ!違った!間違えたジャンルに飛び移っちゃったよ!!!

「チカさん・・・何で、幸村さんと政宗さんがあぁなっちゃったんでしょうか・・・。」
「さぁてねえ。もしかしたら、盗られて拗ねてんじゃねーの?」
「え?!取られ・・・ッ?!そりゃ確かに・・・って、チカさん!それは関係無いでしょ。今、私達がやってるのは枝取りだし、そんなの上手い下手は関係無い筈・・・。」
「なぁ、真っ白。ちぃっと俺等の間で食い違いがあったようだな。」
「え?」

それってどういう事?と聞くと、さぁねぇ。とチカさんに返されてしまった。

「真っ白。次頼むぜ。」
「あ、はい。」

チカさんに言われて、目の前に置かれた木の枝をブチブチと取る。刺が刺さらないように気を付けて枝を幹から取る。

「……何か、こうしてると、木に悪いような気がするなぁ…。」
「あ?何か言ったか?」
「や、何も。」

尋ねたチカさんにそう返し、とりあえず挿し木の分となる奴は、そっと脇に退けといた。
チカさんが木を切る音が聞こえる。

「よぉし……。これで当分は無事だろ。おい、野郎共ッ!始めるぞッ!!」
「え。もう終わりなの?」
「あぁ。後は薪割りだけだ。」
「某は貴殿の部下では無いが。」
「俺は鬼の旗下に入った覚えは無ぇ。」
「煩ぇ。いいからとっとと適当なもん取りやがれ。薪割り位やった事あんだろ。」

と、チカさんの発言を聞きながら、幸村さんは「修行の一環でやった事があるでござる!」と何故か竹箒を一本手にとり、政宗さんは「Duh!」と ふざけんなやった事あるわ!と言う意味のような言葉を吐き捨てて、ちり取と箒を手に取った。・・・・・・?チカさんは普通に斧を一本手に取ってるが…さっきから使ってる。

「おい、真っ白。危ねぇから後ろ下がってろ。」
「え、う、うん…。」

チカさん、幸村さん、政宗さん達が木をぶった切って枝を取った丸太の前に立つ。
「手前ぇ等、準備は出来たか?」「Don't kidding. All ready.」「真っ白殿ッ!!見ていて下されッ!!」あ、うん…。幸村さんに手を振られ振り返すと、「Me, too. Me, too!」と政宗さんも精一杯手を振る。幸村さんも負けじと手を大きく振る。政宗さんも負けじと大きく手を振る……チカさんが隣で笑いながら二人の様子を見ていた。……何だ、この家族関係。まるでチカさんがヤンチャな二人のお兄ちゃんみたいだ……。
チカさんが二人に「とっとと始めるぞ。」と言って、「Don't controll me.」「何時でもいいでござるよッ!」と、何処か不機嫌そうな政宗さんと元気に答える幸村さんの声が聞こえた。


そして。


「・・・・・・・・・。」
「あ、真っ白。何してんの?」
「え、いや、佐助さん、ちょ、これ…。」
「あー…ありゃ気にすんな。何時もの事だ。」
「何時もの事って、え?ちょ、こじゅさん・・・?」
「政宗様達の事は気にするな。そんな所で突っ立ってないで、縁側で座って待ってろ。」
「待ってろって、え、え?」

こじゅさんに手を引かれて縁側へ連れてかれる。佐助さんは何時の間にかいなくなっていた。


そして後ろでは、怒声と薪が落ちる音が続いている。

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