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94. ふくや
メンズファッションの内、一つに辿りついて、政宗さんとチカさんに 上下合わせて一人四着まで、と言ってその店を後にした。もちろん、政宗さんとチカさんが服に集中し始めたのを見計らって、だ。私も一周店の中をぐるっと回ったが、こじゅさんや佐助さん、なりさんに合いそうな服が無かったので その場を後にした。ついでに浴衣もないか探そう。

あ、そうだ。お土産にTシャツ選んで買っていこう。六人分。そういや幸村さん・・・折角買ったポロシャツ、全く着て無いな・・・政宗さんが着てたな。まぁ 似合ってたからいいけど。でも、買うんだったら やっぱり全員の意見聞きたいよなー、と思いながらTシャツ専門店を通り過ぎる。婦人用品があった。とりあえず何かないかな と思って店に入る。ヘアバンドがあった。そういや、佐助さん・・・なんかへんなの被ってて?髪が逆立ってたな・・・。とりあえず予備の分も買って、グレーのヘアバンドを二つ買っておいた。
次に なりさんに合いそうな服の店に行く。ポロシャツとシャツと・・・あ、この手のポロは無かったか。・・・うん、似合うな。ついでにこじゅさんの似合うやつも買っておくか。これで それぞれ二着ずつ・・・下は政宗さんやチカさんと相談しようか。ついでにベルトも買っておこう。うわぉ、自分の趣味が丸出しだな。
カードで支払いを済ませて店を出る。店員が驚いた顔をしていたが 気にしない事にしといた。
店を出ると、肩で息していた政宗さんがいた。

「どこ行ってやがったッ!!!」

と、いきなり怒鳴られた。その後ガシッと手を掴まれてズンズンと元いた場所に戻された。やっぱ無断で行ったのがマズかったか?政宗さんやチカさんは 幸村さんと違って迷子なんかになりやしないと思ってたが・・・もしや、会計?だけどいなかったらいなかったで、来るまで待つと思うし・・・ 正直、ここまで早くに見つかるとは 思わなかった。うぅむ・・・勉強不足か?
政宗さんとチカさんが服を見ていた店に着くと、チカさんが両手にかごをぶら下げたまま仁王立ちで待っていた。う、腕を組んでらっしゃいますね・・・!
チカさんは私が来た事に気付くと、カツカツと私に近付いて 「勝手に離れんじゃねーよ。」と些か怒気の詰った声で私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。・・・撫でる手の力が微かに強くて、痛い。
そんな事言われても 身に覚えのない事で叱られる覚えはない。と言ったら ガシリッと強い力で政宗さんに頬を掴まれた。そして怒声で「この場でkissするか?俺から離れねぇか?」と究極の二択を迫られた。そんな 私の自由をとらないで下さい。恥と世間様からの目を気にして 離れない と両手で降参のポーズをとって言ったが。

「・・・あ。清算?」
「「違ぇよ 」」

普通の人が泣きそうなドス声と怒りの形相で返しました。・・・なんか、怖くて泣きそうだった。
泣きそうになったら、チカさんが私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。それで少し泣きそうになるのが収まって 二人分のかごの中身を見る。

「・・・あれ、政宗さんの・・・四着裕に超してますね。」
「あぁ?小十郎の分も買ったからな。」
「え、こじゅさんの分、さっき二着買った。」
「What!!?! どんなのだよッ!!」
「あ、これに似たの。さすがに下は分からないから買わなかったけど・・・あ、こっちの方が安かったッ!」
「ふーん。」
「あ、チカさん。なりさんのズボンのサイズ、分かりますか?」
「知らねぇよ。」
「じゃぁ、目測でどの位か。」
「おいおい・・・んな事ぁ言われてもなぁ・・・この位でいいんじゃねぇか?」
「あ、M・・・まぁ、いっか。とりあえずベルトは・・・買ったな。」
「belt?」
「うん、皮製。こう言うの。」
「ふーん、茶色 ねぇ・・・。」
「おい、blackは無ぇのか、black.」
「無い。使うなら買うけど。」
「使う。」
「お、俺も。これ買ってくれね?」
「えぇ・・・皆が帰った後、私が再利用する段取りですから・・・せめて これで。」
「んぁー・・・高くね?」
「やだ。チカさんが帰った後で(再利用して)はめるの、私なんだから。自分の趣味に合うもの位じゃないと買わないよ。」
「! あー・・・財布、大丈夫か?」
「まぁ・・・この位は、ちょっとはみ出た位だし・・・ん、まだギリギリの範囲、かな。」
「おい、真っ白。これは safe か。」
「あ、セーフ、セーフ。滅茶苦茶セーフ。政宗さん、趣味合いますねー。」
「(ニヤリ) そうか?」
「! おい、真っ白ッ!俺はこっちでいいぜ!」
「あ、これいいじゃん。いやっほーい!これ、前々から欲しいと思っていたもんなんだよねー。」
「!! 真っ白ッ!!コイツはどうだっ!!!」
「あ、これも・・・」
「! おい、真っ白!こっちも見てみろよッ!!」
「って・・・二人とも、私 そんなに買えないから。」
「「(あ、目的に気付いてない)」」

とりあえず、政宗さんが二度目に見せたベルトとチカさんに見せた指輪をかごの中に入れて、ついでに二人のかごを一つに纏めてレジに通した。あ、その前に 佐助さんに合いそうなやつがあったので、 二、三着位放り込んだけど。

「えーっと・・・全部で41,800円になります。」
「あ、キャッシュで、」
「ひっ!(ブラックカードッ!!?!)」
「?」
「あ、と 通らせていただきまーす・・・あ、こちらにお名前と番号を・・・。」
「あ、番号ね、番号・・・」
「・・・」
「・・・はい。」
「あ、ありがとうございましたー!し、しばらくお待ち下さいッ!」

どもるカウンターの後ろでせっせと店員が袋詰めしていく。衣服を綺麗に畳んで。店員の業務掛け声を後にして、店の外で待っている二人に荷物を渡す。

「はい、持ってね。」
「Ok.」
「うぉ、袋二つかよ。」
「うん。袋二つになった。」
「んなに買ったかぁ?」
「多分、政宗さんが一人分の所を二人分買った所為だと思う。」
「What!!?!」
「まあ 次行こうぜー。」
「だね 次はうにくろだー。」
「おい!俺を無視すんじゃねぇ!」
「あ、次は政宗さん達の浴衣、買いに行くから。あと、今日と三日分位の買い出し・・・」
「お、おう。」
「んぁ? 一ヶ月分を買い溜めしねぇのか?」
「うーん・・・男六人分の食料って、予想以上に消費すると思うんだよね・・・人数も人数だし、三人分で疲れない重さも限度があるから、とりあえず三日分。」
「・・・一人分で足りるぜ?俺は。」
「え。幸村さんのように二人分とか三人分、食べないの?」
「あぁ?!アイツ、んなに食べてたのか!!?!」
「え。まぁ・・・育ち盛りの子だったし・・・てっきり、お代りなんてザラだと・・・」
「・・・。」
「おいおい…。羨ましいなぁ、おい!」
「じゃぁ、六人分をとりあえず 八人分の換算でいきますか?」
「Wait, まさか 手前ぇ・・・」
「え?」
「それで、自分の分の食事を削ってたわけじゃぁ ねぇよなぁ・・・?」
「ギクゥッ! い、嫌だなぁ・・・な、何を言っているんだが・・・」
「Hey, 目を逸らしても無駄だぜ。俺には全部分かってんだよ!」
「・・・脱兎!」
「あ、逃げんなッ!!」


でも、荷物持ってたので すぐに追いつかれました。


「だからって、これは無いと思う。」
「はぐれるからな。」
「はぐれねぇようにな。」
「これ、簡易リトルグレイだよ、リトルグレイ。」
「Little gray?」
「うん、宇宙人が人類二人にこうやって連れてかれるとこ。今度見せてあげる。」

あ、チカさんに車の絵本 買ってあげるの忘れてた。

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あきゅろす。
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