93. ほんや 政宗さんに抱えられて チカさんに靴を拾いあげられたまま、目的の場所のデパートに着いた。 「ちょ、降ろして くだ、さいッ!」 「Ah? 裸足で降りる気かい? Little girl?」 「! 馬鹿にすんなっ!ちょ、チカさんっ!靴!靴、返して下さいっ!」 「敬語やめたら返してやるぜ。」 「ちっくしょーッ!!!なんて良い笑顔だッ!!!どうでもいいから靴 返せッ!」 「おいおい、んな はしゃぎ回ると見えるぜ?」 「下穿いてるから平気だ・・・って!ジーパンっ!ジーパン穿いてるからっ!!!!」 「それでも目の毒にはなると思うぜぇ?」 「酷っ!!!」 「(男共の視線の的になるからな・・・)」 「(益々注目を浴びるからな)」 ・・・なんか、急に笑っていたチカさんと政宗さんが真剣な顔をした。チカさんが下に置いてくれた靴の上に着地するように飛び降りる。一瞬身体がブレて片足が靴の上に着地しそこなったが、政宗さんが脇に手を入れて浮かしたので 未遂に終わった。衝撃を受けた脇は痛かったが。 靴を履きながらも敵の気配を探す。靴を履き終えた後も、辺りを見回して敵の気配とか敵意を探すが、どこにも何もない。二人が真剣になる原因が、外にはない。いや、もしかしたら別理由? 「・・・なんか、あったの?」 とりあえず 敬語使うな、と言われたので なるべくキツくならない言葉を選んで二人に尋ねる。うっかりすると気の強い言葉ばかりを選んでしまうので気を付ける。しかし、二人は「No.」「いいや なんでもないぜ。」と言って、私の頭をくしゃりと撫でた後、デパートの中へ私の手を引いて連れて行った。・・・あれ。この場合の案内役って、私だよね?ここの地理知らない二人にとっては私が案内役のはずだよな?あれ、何時の間に立場が逆転したッ!!?! しかし、入った途端 どこへ行けばいいと尋ねてきたので、安心したのはここだけの話だ。 デパートの中も混雑していたが、あの人混みの量ではない。とりあえず掻い潜って看板を探さねば。地図の書かれた看板を。その為には二人を握る手が邪魔なんだが・・・二人を握る手をパッと外す。二人は私の手を握りしめたままだ。何だか気恥しくなって握っては離すの繰り返しをした。 「? なんだぁ。どうしたってんだよ。」 「ハハン。今さら照れてんのか?」 「違います。看板探すのに一人の方が行動しやすいから、どうしようかなー、って・・」 「That's terrible. 迷子になったらどうすんだ?」 「その看板ってのは どーいうのなんだよ。アンタより背ぇ高いから見つけやすいはずだぜ?」 と、チカさん政宗さんが私の顔を覗き込んで尋ねる。・・・なんか、カーナビ二つ持った気分だよ・・・。 とりあえず二人に 看板が地図で柱や壁、扉にかかっているものだと教える。二人は扉と言う言葉に疑問を持ったが、その扉は壁の形をしていると教えたら納得した様子で頷いていた。 政宗さんとチカさんの間に挟まれて地図の描かれている看板まで一直線に行く。・・・なんか、この場合の保護者は私って言うより、チカさん政宗さんじゃないか、コンチクショー。 二人はそんな私の心情を知ってか知らずか、私の探していた看板の前に着いた。二人に礼を言って、久々に来たデパートにある店の位置を探して確認する。あ、一個移動して無くなってるッ!まぁ、いっか。本屋はここで服屋は此処に固まっているのか。メンズが多いな。せめてメンズとレディースを両立したやつを入れろッ!うにくろはー・・・あ、ない。仕方が無い、スーパー行く途中で買うか。 とりあえず位置の確認を終え、政宗さんとチカさんの手で塞がっている両手をぷらぷらとさせてエスカレータへ向かう。チカさんが幸村さんと同じ反応をしたので「現代の技術の賜です」とでも答えておいた。 ・・・車(の本)買うついでに こんな技術の一細かく書かれた百科事典並みの分厚い本を買わされそうになるかもしれないが、今の内に それのお断りの返事を考えておいたので 大丈夫だ。と言うか、私が今後使わないのだから断りきれるはず、うん、そうだ きっと! エスカレータで二階に着いたので、まず本屋に向かう。とりあえず 服を選んでもらうのは二人だし、ある程度 服の知識を身につけてもらわなきゃ困る。途中にある店の商品に目がいって ついつい寄り道しそうになるが、今は本屋を優先して、真っ先に本屋を探した。 本屋について、二人の手を放す。しかし、二人は離さなかった。 「・・・えーっと、」 「で、何すをるんだ?」 「あ、本読んどいて下さい。ファッション雑誌。で、読み終わったら私を読んで。」 「大声で呼べば いいのか?」 「 止めて下さい。」 恥ずかしい。 とりあえず未だに手を繋ぐ二人をメンズファッションのコーナーへ連れて行き、適当な雑誌をとらせて読ませる。なりさんに合いそうなファッション雑誌があったので、それを ぱらぱら と読む。 「おい、真っ白。これはなんだ。」 「あ、私の履いてるジーパン。カーゴタイプで膝小僧位の高さ。」 「なあ、これ 漁に不向きじゃねぇか?」 「・・・それはそういうファッションだけど、一歩間違うと露出狂になるから止めてね。」 「ハッ。手前ぇにピッタリの言葉じゃねぇか。」 「あん? 馬鹿にしてんのか・・・?」 「あ、これ佐助さんに合いそうかも。」 「「いや、ない。」」 「っつーか、暑苦しいだろ。」 「これなんかどーよ?」 「えぇ・・・なんか二人とも、遊んでない?どっちかって言うとこじゅさんでしょ、これは。こじゅさんの方が似合うって、絶対。」 「Ah? 小十郎は絶対こっちの方が似合うんだよ。」 「あ、言われてみればそうかも・・・確か、そう言う系のメンズがあったな・・・でも、うにくろにも似たようなやつがあったしなー・・・ うぅ・・・」 「・・・出来りゃぁコスト、削減したいよなぁ・・・。」 「えぇ、まぁ・・・ってチカさんッ!!目ぇ、遠っ!!!」 「(そういや兵器って・・・金、掛かんだよな・・・)」 何故か政宗さんとチカさんが遠い目をし始めたが、とりあえず何とか現実に戻して本屋を後にした。って、あ。自分 読みたいやつ読んでない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |