[携帯モード] [URL送信]
92.5 ひめだき
女は仕度に時間が掛かる。これは経験上で分かっている事だ。
真っ白は用意に時間を掛けなった。それは何故か と探すと、女の化粧にあった。先程 俺に渡した日焼け止めクリームをとりに来た時と朝と夜寝る時の真っ白と、準備を終えた真っ白を比べると、変化は無い。
Ah...自分の顔に自信があんのか?まぁ、うん、自信を持ってもいい顔だと思うが。

小十郎達に見送られた後 鬼と共に外に出る。そういや、こいつと一緒・・・っつーか顔合わせたの、こいつから 宝とか抜かしやがって戦仕掛けられた以外 会った事無ぇな。
真っ白は扉に「休業中」と看板を下げた後、家の階段を降りた。かつんこつんと音がする。真っ白の後に続いて俺と鬼も階段を降りる。かつんこつんと音はするが、真っ白ほどの高い音を出さなかった。
そうか、真っ白の履いている靴にあんのか。と階段を降り終えた直後に気付く。地面に足がつく。真っ白は家にいる時よりも 少し背が高くなっていた。パッと見て分かる程じゃねぇが。

真っ白の後に続き、灰色の固い道を歩く。鬼が真っ白に尋ねる。
「なんだぁ?この固ぇ土は。」「あ、コンクリートです。サンゴ礁潰して作った。」「ふーん。」
・・・説明する時は敬語に戻るのか。鬼はさして気にした様子もなく 真っ白に質問を投げかける。
鬼の相手をし続ける真っ白に段々腹が立ってき、たまたま目についた犬を真っ白に尋ねた。
真っ白が俺に目を向けて説明したから 少し気分がよくなった。真っ白の犬の解説はあまり覚えてないが。真っ白との話の話題になっていた犬の飼い主の視線なんざ気にしねぇ。やっぱ 城に戻れんなら、真っ白も持って帰りてぇところなんだよな。小十郎も気に入ってたみたいだし、持ち帰るにゃぁ問題は無ぇはずなんだが、後は本人の気、次第だな。今のところ、真田んとこに気があるみてぇだしな・・・。ま、Love の方面じゃねぇだろうがな。危うく癖で口笛が出そうになるのを堪える。折角真っ白が俺に説明してんだ、真っ白の気を悪くしてブチ壊すような真似はしねぇさ。戦に出させるとしても・・・出したくはねぇな・・・城で待たせるか。
等と考えていると、鬼が 犬の飼い主の視線に気付き、この話は切られた。

真っ白は薄暗い道へ入った。一体何しやがんだ、と思ったが 真っ白の後に続く。鬼が一歩手前を歩いていた。鼻歌を歌いそうな雰囲気だ。ガキが。そう言う俺も楽しんでいるが。にして、慣れた手つきで進んでいくねぇ・・・。skip していた真っ白が顔を向けた。一瞬 心臓が跳ね上がったが、どうやら顔を横に向けただけで 「猫ちゃん」と言っただけだった。
Damn! 可愛いじゃねぇか・・・!
黒猫が横を通り過ぎる、が 俺達の後をついていく。
? なんだ?
真っ白は skip を止めて普通に歩いていた。俺も鬼も真っ白の歩調に合わせる。着物が真っ白の動きに合わせて float する。Ah..skip じゃねぇな。float の間違いだったな。
真っ白が「可愛いなぁ」と言う。飼いたいのか、と思ったが 飼う余裕はねぇんじゃねぇのか。と尋ねる。真っ白は笑いながら 男六人いるから無理 と答えた。その答えにむっとし、 いなければよかったのか と尋ねる。だが、真っ白は 金をふんだくる と言った。鬼が おっかないと言う。真っ白は 自分は事前に金をとるタイプだと言った。ほぉ、ようやく意味が掴めたぜ。
俺は真っ白に 今までそうやって嫌な客を追い払ってきたのかと聞いた。真っ白はしばし考えた後、yes,と答えた。自分の口の端が上がるのを感じた。
真っ白に 俺達はアンタの気にいった客なのかと聞いた。真っ白は少し困った顔をしたが、 えぇ。 と答えた。自分でも顔が笑っているのが分かる。


その答えだけで、充分。


鬼も笑っていたが、throughしておいた。真っ白は不思議そうな顔をして俺達を見上げていたが、俺にとっちゃぁ アンタが不思議だぜ。いた時間は幸村よりも短い、が・・・ハッ 俺にもやきが回ったか。
真っ白が白猫を見つけ、「白猫。」と言う。白猫は俺達の後ろをついてきた黒猫の所へと向かう。不意に白猫が真っ白に重なり、「あの white cat は真っ白だな。」と言う。真っ白が ようやく白猫が黒猫の元へ行ったのに気付く。黒猫が俺に重なり、 あの黒猫は俺だ と口に出た。hope、だがな。
鬼が俺の発言に切れて喧嘩をふってきやがった。だが、不意に真っ白が俺達の腕をとり固まってしまったので、鬼との喧嘩は止まった。そのまま真っ白は動かない。ただ、黒猫と白猫がじゃれるのを見ているだけだ。

その後、裏道を出て、確かに人混み酔いしそうな程の大通りに出る。真っ白が俺達の方を振り返り、背伸びしてなんとか俺達の頭の上についた埃を振り落そうとしている。鬼も俺も、アンタが届かない事をしって身を屈めていた事に 気付いてんのか?多分 その様子だと気付いてないようだが。
そういう風に一生懸命払われると、なんかな・・・ 紛らわす為に真っ白の頭についていた埃を叩き落す。真っ白は不思議そうな目で俺を見る。本当、こういう事に疎いのか慣れてないのか と思ってしまう。鬼が真っ白の肩についた埃を払う。

真っ白は人混みの中へ紛れ込む。真っ白と逸れないように慌てて真っ白の手を掴もうとする。が、本人から自然と 極当たり前のように繋がれた。空いた手は鬼の手を繋いでいた。
真っ白は自然と俺達と手を繋ぎ人混みの中を歩くが、前を向いていた視線が段々下に下がる。視線に耐えきれなくなったのか。通り過ぎる人混みが真っ白と俺達を繋ぐ手に視線をやり、confidential matterをし始めた。俺は慣れているが、真っ白には慣れていないのだろう。男や女の視線が遠慮なく突き刺さる。鬼が苛立たしく周囲を見回す。女の黄色い声が聞こえる。鬼が真っ白の安否を気遣うが、真っ白は下を俯いたまま 大丈夫だ と答える。大丈夫じゃねぇだろうが。大丈夫ならそれらしく振舞え、と喝をいれて顔を上げさせようとしたら 男の下卑な笑いが聞こえた。・・・Ah......そーいう事ね・・・。

真っ白は俺の一言で元気を取り戻したのか、俺達に向きなおって、早足で目的地へ向かう事を伝えた。
ハッ。そんなんじゃぬるいぜ。アンタが下を俯いて目的の場所を探している間、その目的の場所とやらを掴んでおいたんだよ。 鬼もそれが分かっている事を真っ白に言った。
真っ白は俺達を驚いた顔で見ていた。そして再度意味を問い質したが、I don't let you ask that.

真っ白を横抱きにして、邪魔な人混みを避ける。真っ白の腹の傷に響かねぇように気を付けて口応えしねぇうちに走り出す。真っ白の穿いていた靴が脱げたが、鬼が拾ったので よしとしとこう。


I've had you under my arm twice, do you notice?





政宗様が書けない!\(^P^)/
脳内で元親と政宗の声をリピートしてるけど、読み返すと微妙に分からない!/(^P^)\泣



おまけ
:Damn (and blast) him! 訳)いまいましいやつめ!(出典:ジーニアス英和辞典)
これと ! と人(目的)をかけるとこの意味になるので、 居残り組〜奥州組 の真っ白の主張はある意味正しい。
skip:(中略)人・羊などが 軽く飛ぶ、スキップする、跳ねまわる(後略)
float:(中略)物・人が水面・水中・空中を漂う、浮標す;<<文>>人が軽やかに動く;あてもなくさまよう

筆頭、float は文語だ!


[*前へ][次へ#]

96/122ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!