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86. ぱっくり
「そう言えば、今日誰が先に入るの?」
「あ、皆さんが先に入ればいいから。」

下着とか気になって途中や最初からは ちょっと入れないし。

「え。でも、真っ白ちゃんがここの家主でしょ?」
「男と女ですから。」
「んぁ?男女差別反対、って言ってなかったか?」
「・・・別問題だッ!!」
「真っ白殿、逃げは いけないでござるよ。」
「幸村さん、私 別に逃げて無いよ。」
「ほら、旦那もこう言っている事だし・・・先に入りなよ、真っ白ちゃん。」
「いや、そんな事言ったって・・・」
「先に入らねぇなら俺が一緒に入ってやろうか?」
「政宗様、おいたが過ぎますぞ。」
「冗談であろうな?」
「Ah? なんだ、この総攻撃。」
「と言うか、私 包帯あるんだけど。」
「じゃ、外そっか。」

あれ?さっきと言ってる事違う。
そんな訳で佐助さんに 両手と腹の治療をしてもらった後、着替えと共に洗面所へと向かった。あ、歯ブラシ補充しとくか。ホテルで貰った分と私と幸村さんの予備の分で買ったやつを出せば足りる、足りる。
着替えを置き、洗面器二つを取り出し、一方に水を張る。・・・そういや昨日、幸村さん達って 洗い物、どうしたんだろ・・・・・・。ちょっとお酒の所為もあってか 昨夜の部屋の状況がおぼろげだ。なんか、政宗さんと何か話した事しか覚えて無い。これもうろ覚えなんだが。・・・まぁ、朝の内に取りこんだ、って事でいいか。
脱いだ服をかごに入れ、ブラをネットに入れて洗濯機の中へ入れる。他の衣類は 幸村さん達のと一緒にやるので問題ないです。要するに 後でやる。
最後に 下を水の張った洗面器の中に入れ、風呂場の入口付近に置いておく。
バスタオルとタオルを取り出し、バスタオルを浴槽の入口にあるタオル掛けに掛けた後、風呂場に入る。
あー、お風呂入りたい。と思ったけど、今は夏だし暑いから それに溜める時間も無いし、秋に入ったらお風呂張ろうと思った。
タオルを置いて、シャワーの蛇口を捻る。水からお湯に変わり、頭から足の爪先まで水が降りかかる。お湯だけど。両手の傷がチクリと傷んだ。腹部も少し痛んだ。なんとなく腹部をなぞる。黒い糸がぼこぼことしているが、他は平べったかった。傷口に触れないように洗わないとなー。と思いながら指先にシャンプーをプッシュして出す。その先で泡だてて頭を洗う。
シャンプーの次はリンスで、洗顔料で顔を洗う。減りが昨日よりずっと減っていた。幸村さんには最初教えたが、幸村さんが使っていた時と比べると、減りが早いような・・・・・・。彼らが使ったのだろうか。
もしかして、男性用の洗顔も買わなきゃいけないのかなぁ・・・と出費を気にしながら頭を洗い終える。そして減りの 残り少ない洗顔料からクリームを捻りだし、泡を立てる。顔洗う時は掌全体を使って傷口全体を洗うので、もう この際気にしない事にした。腹部に関しては・・・何とか泡がつかないように気を付けた。
顔を洗い終えて身体を洗う。私はブラシで洗う派だが・・・幸村さん達って、何で洗ったんだろ、昨日・・・ まぁ いっか。タオルでもブラシでも使った事には変わりは無いのだから、身体洗う用の石鹸をブラシの上で泡立てて 首、肩と順に洗っていく。
扉の開く音が聞こえる。一瞬身構えたが、佐助さん達の内誰かだろう。幸村さんは この一ヶ月間、私が風呂に入っている間、一度も洗面所に入った事が無かった。
もしかしたら歯磨きかな?そういや、誰にも歯ブラシの事を話してない。

「歯磨き?」

私は浴槽のドア越しにいる人物に話しかける。

「お、おう。」

声からして 政宗さんだった。

「あ、歯ブラシ 出してあるから。どれがどれがいいかは、皆で選んで。私のがピンクの透明の、幸村さんのが赤だから!」
「O..Ok.」

何故か政宗さんはどもって答えた。何故だ。
私にそんな疑問を残して政宗さんは洗面所を出た。おい、歯ブラシはどうしたッ!!
身体を洗い終え、下着の洗濯に取りかかる。洗濯用の石鹸を取り出して下着を洗う。洗い終えて水を流して その中に洗い終えた下着を入れる。あ、別の洗面器、用意しないと。風呂場から出ようとすると、またドアの開く音がした。歯ブラシの置いてある所へ行き、水の流れる音がして キュッと蛇口の捻る音がした後、出て行った。どうやら歯ブラシを取りに来たのらしい。
その後風呂場から出ていき、バスタオルで軽く身体を拭く。そういや、これ・・・軽く擦りガラスなんだよな・・・。今度カーテンを付けようかな?いや、どうせ もうすぐ他のとこに移るのだから、まぁ いっか。
私はなるべく擦りガラスに映らない様に屈んで着替えを取り出し、下着を着々と身につけ、衣類を身につける。どうせ映るのは上だけなので下は後で着る。
頭を拭くついでに歯磨きの準備に取りかかろうとすると、ピンクのスケルトンの歯ブラシが無い。何故だ。 後で探してみるかと思って、白いタオルを上から取り出し、頭を拭く。そのまま白いタオルを頭に被せたまま、下を身につけ、洗面所から出る。

寝室に戻ると、各々好き勝手やってた。歯磨いてたり 佐助さんやこじゅさんが ホテルから持ち帰った歯ブラシに印付けたりと・・・あれ。


「・・・・・・・・・チカさん。」
「ん?」
「それ、私の歯ブラシ・・・」


チカさんが歯を磨くために咥えていた歯ブラシ、私の歯ブラシを指さした後、なりさんのラリアットが見事にチカさんの頭に決まった。だけど、チカさんはあまりダメージを受けてないようだった。

「・・・あれ。チカさん、確か・・・政宗さんに、聞いてませんでしたか?ピンクの歯ブラシが私のだって・・・。」
「あ? 聞いてねぇな。アイツなら出てった後 すぐに・・」
「乳首。今すぐ その 咥えているものを離さんと 八つ裂きにするぞ。」
「なりさん、戦輪自重、自重。家具が壊れる。」
「おい、俺の心配は。」
「あ、歯ブラシ返してもらいますからね。」

チカさんの咥えている歯ブラシを引っこ抜いて状態を見る。うん、やっぱり歯磨き粉が付いてない。とりあえずこれ、どうしようかな・・・。

元は自分の→チカさんが咥えて行った→チカさんが悪い→元は自分の→このままだと垂れ落ちる→拭かなきゃいけない→元は自分の 悪いのチカさん→問題無い

パクリと咥えて洗面所へ向かう。だがブラシの付いているプラスティックの部分を歯で挟んでいるので、セーフだ。これはセーフ。だって口に付いてないもん。
ティッシュで包んで、と言う選択もあったが、いずれ自分が使うのだから ティッシュ包んだままだと繊維がついて気持ち悪い。よって歯で挟んで咥えた。
洗面所に入って挟んだ歯ブラシを取って、水でよく洗う。途中、"元親殿 卑怯でござるぞッ!!!!!!"わー!!!旦那ッ!!!抑えて、抑えてっ!!!家燃えちゃうッ!!火事になるからッ!!!!ね!!?!!!?!!"ふ、ふふふ不可抗力だッ!!!"顔を赤らめるなッ!!!えぇい、気持ち悪いッッ!!!!!!姫若子がッ!!!!" 俺は 認めねぇッッ!!!!Hell Drag"政宗様ッ!!!自重なさって下さいっ!!!"旦那も竜の旦那に釣られないでッッ!!!!!!!!"等と言う声や騒ぎが聞こえたが、皆仲良くやっている証拠なんだなぁ、と思って なんだか気持ちが温かくなった。やっぱ、皆仲良しが一番だもんな。

多分、チカさんは今聞こえた“姫若子”から、見かけに合わず可愛いものが好きなんだな。だから私の歯ブラシを間違って持ってちゃったんだ。自分だって 何でこんな乙女色を… と思うが、もう習慣として慣れてしまってるので、致し方ない。予備として買ったピンクのスケルトンの歯ブラシを洗い、歯磨き粉は付けないでおく。自分のは付けたが。

チカさんの分も用意して洗面所から出る。皆それぞれ武器を構えてたが、まぁ 家と家具を破壊されなければいっか。と思って構わずチカさんの所へ行き、チカさんの分として用意した歯ブラシを渡す。あれ、何故かチカさんだけ武器 装備してない。

「はい、チカさん。チカさんの分。」
「お、おう・・・ありがとよ。」
「いえ。あ、歯 磨いた?歯ブラシの使い方 分かる?」
「それは大丈夫でござるよ。昨夜 某が教えたのだからな。」
「そっか。ありがと。あ、でもよってたかって武器の持ってない人虐めるのはいけないと思うよ?やっぱ、平等にやらなきゃ。武器は武器持ってる同士で喧嘩・・・あれ。なんか、暗に喧嘩する事を隠喩してる?」
「んー、そんな事ないよ。真っ白ちゃん。」
「あー・・・そうかなぁ・・・。ま、武器使用の喧嘩なら、家変わってからやってね・・・と言うか、武器使用の喧嘩、駄目って言わなかったけ?」
「Oops.Sorry, 真っ白。」
「俺とした事が・・・すっかり冷静さを欠けてたぜ。」
「すまないでござる・・・・・・」
「しかし、乳首に一発殴らせろ。」
「えぇ・・・何で私に・・・チカさんの判断でしょうが・・・。」
「くそぉ…なんつー反応に困るもんを振りやがるんだ・・・ッ!!」
「安心しろ。こいつはドMだッ!!!!」
「グフッ!!」
「・・・やっぱ嫌がってるので、止めて下さいね。」
「チッ」
「(助かったッ・・・!!)」
「あ、でも私と同じだから気を付けてね。あ、こじゅさんと佐助さんにしてもらったら?」
「じゃ 姫だね。」
「いや 乳首だろ。」
「ちくしょーッ!!!なんだ、この虐めはッ!!!!」
「あ。そういや、皆さん、歯磨きは?」
「um? あぁ、今するぜ。おい、小十郎。俺のはどれだ? which?」
「これでございます。」
「 Thank you.」
「佐助のはこれでござるからなっ!某のとお揃いのッ!これで先程のような間違いは無いぞッ!!」
「うん・・・旦那も間違えないでね・・・微妙に似てるから・・・。」
「安心しろ。死んでも間違わぬからな。」
「!!!! 旦那ッ!!?!」
「あれが俗に言う黒降臨、か・・・。」
「なりさん、どうしましたか?」
「いや、何でもないわ。それより、さっさと我のを寄越せ。」
「あ、これらしいですよ。後のは こじゅさんのだと思うし・・・」
「どれどれ・・・・・・貴様等、我に喧嘩を売っているのか。」
「いいえ。」
「違ぇよ。」
「あ、嫌なら別のにする?他にあるし・・・」
「む。た、頼むぞ・・・。」
「? あぁ、うん・・・。」

何故か なりさんが顔を赤くしてそっぽを向いた。いきなりタメ口聞いたのがいけなかったのだろうか。

洗面所に向かい、先客でいる政宗さんに一言断って そこから退いてもらい、新しい歯ブラシを取り出し、“オクラ”と書かれた歯ブラシをゴミ箱に捨て、寝室へ戻って“なりさん”と書いて なりさんに渡した。

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