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82. せんげん!
「・・・・・・・・・あ。」

ふと我に返り、机の上に散らばった資料の山に気が付く。時間も起きた時間も遅かったものだから、もう夕食に取りかかる時間だ。とりあえず、この資料の山をどうにかしなければ。

「あぁっと、・・・この山、私がどうにかしとくから・・・・・・皆はちょっと、あそこで待ってて。」

と、私はこじゅさん達にそう言って、保留した資料と没になった資料とを分けて二つの山を作る。没になった資料はまた次の時にメモとして活用しよう。
無心に二つの山に分けていると、いきなり がしりと手を掴まれた。その手を辿ると、眉間に皺を寄せた幸村さんがいた。

「す、すまないでござるッ!!!ま、真っ白殿を 泣かせて、しまって・・・・・・」

と幸村さんは大きな声で謝って 段々声が小さくなっていった。最後の言葉が些か取りにくかった。あぁ、この幸村さん・・・・最初、私に泣きついて謝った時と同じ顔をしている。

「あぁ、大丈夫だよ。泣いてなんか、いないし。」
「し、しかし・・・」

幸村さんを宥めるように頭を撫でると、幸村さんが またあの時と同じ目をして、私を指した。私の目尻である。一体そこがどうしたと言うのか。
いきなり政宗さんが立ちあがった。その前に ガツン と大きな音がしたのだが、誰かの膝とかは大丈夫なのだろうか。今立ちあがった政宗さんが一番確立が高いのだが。

「Ah...!!!!!!!! 無しだ、無しッ!!!!俺は、此処にいる時だけ手前ぇ等と party をしないぜ。」
「ま、政宗様ッ!」

いきなりそう宣言した政宗さんに こじゅさんも立ちあがって政宗さんの所に行った。

「何をおっしゃっているのですか?」
「Don't say anymore、小十郎。手前ぇも 薄々は分かってたろ?」
「そうではありますが・・・」
「ま、この状況だと不可抗力だと思うぜ?なぁ、my pricese?」

princese? あれ、なんでそうなるんだ?
意味が分からずに考えていると、何時の間にか政宗さんが幸村さんの手を叩き落して私の顎に手をかけていた。早業。一体何時の間に移動してきたんだ。幸村さんがこちらを睨んでいた。

「はいはい、ちょっと落ち着きましょぉねぇー。旦那も、竜の旦那の案に、で いいでしょ?」
「・・・真っ白殿の迷惑になるし、今 お館様の ご上洛の為に 無駄な争いはしたくないからな・・・。」
「ったく・・・無駄な意地張っちゃって・・・」

と 佐助さんも凄い早業で政宗さんの指を私から跳ね除け(一瞬 なんかのお笑いコンボを思い出した。ハリセンでパーンッとやるやつ)、幸村さんにそう問いかけた。幸村さんは 前見た時と同じような拗ねた顔をして応答した後、佐助さんがなんか呆れたように両手を やれやれ として、なりさんとチカさんに顔を向けた。何故か佐助さんの両手が私の肩の上にあった。

「毛利の旦那も、鬼の旦那も それでいいよね?」
「チッ・・・」
「こんなんだと、後先が不安だからな・・・乗ってやるぜ。」

なりさんが舌うちしてチカさんがそう佐助さんに答えた。佐助さんは「そう」と答えて、私をくるりと正面を向かせた。

「じゃ、ここの家主である真っ白ちゃんに、そう誓おっか。」
「え、え?意味分かんないんですけど・・・」
「喧嘩しないように今から約束する事。」
「え。変な小競り合いも?」
「・・・・・・えーっと・・・その小競り合いの意味が分かんないだけど・・・・・・・・まぁ、ちょっと今は戦から身を離れる、って意味。んーっと、分かりやすく言えば、小休止、かな?」
「あ、分かりました。」

と私は佐助さんに答えた。なんか 佐助さんの最後の語尾が疑問形だったような気がするが、そこは気のせいとしとこう。

佐助さんへの質問が終わると、真っ先に政宗さんが私の顔をぐるりと政宗さんの方へ向かせて私の目を見つめた。首がぐきりとならなかったのか心配だ。

「俺達伊達軍は、今だけ小休止を言い渡すぜ。」

Are you Ok? と政宗さんが聞いてきたので、Ok、と返す。政宗さんは何処か満足した顔で、だがなんか残念そうな顔をして、私から離れる。次に幸村さんが私の前に来て私の両手をがしりと掴んだ。何時の間にか身体の向きがさっきと同じ状態になっていた。首が辛かったから、自然と向きを変えたのだろうか?

「某、真田軍 ならびに武田軍は、・・某のいた所に戻るまで、他軍とは戦をしないでござる。」

と真っ直ぐな目をして私を見つめた。わー、わー、こんな真っ直ぐな目って弱いんだよ、返せないんだよ、断りの返事を。今の状況からして断りの言葉を言えないような気がするが。と言うか。まだいまいち状況が分からん。

次は なりさんが幸村さんを押し退けて私の前に正座した。

「今のみ戦を仕掛けてやらないでおこう。」

と私の目を真っ直ぐ見て言い放った後、その場を離れた。チカさんがそんな なりさんの様子を見て苦笑いみたいなものを浮かべ、私の前に胡坐を掻いて私を見た。

「軍 無ぇから戦仕掛けられない状況だと思うんだがよぉ・・・ま 今回だけは何もしないでおくぜ。」

最初チカさんが私に聞こえるようにボソリと言ったような気がするが、生憎佐助さんがまだ私の肩の上に手を置いている状態なので、生憎聞こえてしまってると思う。ドンマイ、チカさん! チカさんがそう言い終えると、後ろからボソリと「ならば 他の件に関しては仕掛ける、と言う事か・・・」となりさんが言ったので、「違ぇよ! 状況が状況だから今回は今回なだけだッ!」「その状況が分からん」「帰れねぇだろうがッ!」「じゃあ 帰ったら仕掛けるっつー事で OK なんだな?」と何時の間にか政宗さんが入っていた。何故か六刀構えている。「違ぇよッ!!ったく・・・小休止っつー言葉は嫌いなのに・・・」とチカさんが言ったので、 なら今だけ戦仕掛けないでいいじゃないですか。 と言ったら、チカさんはパッと顔を輝かせて

「じゃ、今だけ 喧嘩を仕掛けねぇからな!」

と言った。なんか 清々しかった。

次は 佐助さんが私の肩に手を置いたまま、皆に言うように言った。

「んじゃ、俺様は今日だけ忍の仕事 休ませてもらうね〜。」
「佐助っ!今日だけと言うのはどう言う事か!!?!」
「旦那ぁ・・・言葉のあやだって、言葉のあや。状況な状況なだけに、忍の仕事はしないって 事。」
「しかし、何時もの仕事はするのであろう。」
「・・・。」

後ろから佐助さんの泣きそうなオーラが伝わった。


「・・・えーっと、なんか 終わりました?」
「ん、まぁ。」
「じゃ、今から仕度をはじめますんで。皆さんは 資料の片付けをしといて下さい。あ、佐助さんは休んでていいですから。」
「え、でも悪いって。悪いって。真っ白ちゃん、両手それなんだs」
「安心しろ。俺が手伝ってやるから。」

と こじゅさんが私の頭をくしゃくしゃと撫でながら佐助さんにそう言った。


とりあえず なんかどういうことかは分からないが、とりあえず今は 今日の夕食の準備に取りにかかる事にした。

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