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80. お家探し
政宗、幸村、佐助、小十郎、元親、元就の六人は真っ白の出した物件の情報を一から見ながら それぞれ検討する。

「Hey,幸村。そこは 家が密集しているから NO GOOD だ。」
「え・・・そうでござるか?」
「なら、こことこれの家も駄目 と言うことになるよねぇ・・・。」

佐助は 今政宗に指摘を受けた幸村の物件を机の上に広げられた地図と見比べながらそう呟く。 地図は佐助の提案より出されたものだ。寝すぎた所為か、真っ白は肯定の代わりに、全く使われていない真新しい地図を佐助に差し出した。所々赤い印やらが付いていたが、右上に書かれた年号を真っ白に問い質した所 間違ってないと答えた為、この地図は信用に値すると分かった。「今年のだし」と言ってたし。

佐助は可案の纏められた物件を取り上げ 一からそれを見なおす。

「それは地理的に不安なものだ。」

元就は佐助の手に取った資料の束を一瞥した後 そう言い放った。そう、と佐助は答えた。
とりあえず佐助はそれを再検討してみる事にした。忍としての知識をフル活用して。

「ここも・・・駄目だな。」

小十郎は地図と物件の家を見比べた後、不採用資料の溜まるゴミ箱へと捨てた。彼の見た物件は、高速道路や道路に面した家であった。

「海が無ぇ、川も無ぇ・・・」

元親は流れる資料の中から一枚一枚を取り上げ、元就に渡す。彼は頭を抱え込みながら、紙が詰まりそうになると真っ白の打ちだすコピー機へと歩き、紙を継ぎ足す。

「どうだ?」
「無理。」

真っ白は元親の問いに疲れた目で そう答えた。望む条件の揃わない物件に痺れをきたし、大型サーチサイトで条件を変えて真っ白は再度物件を調べ直していた。途方もないデータの海の中から一粒二粒の砂を掬いあげていくような作業、途方もない。
真っ白は目頭を押さえる。疲れた、と口に出した。
佐助はそんな真っ白の呟きを耳にして、疲れてきた主と周囲を見て、「ちょっと休みにしよう」と言って台所に向かい、お茶の準備を始めた。時計を見れば四時を切っていた。
(真っ白が寝ている間、佐助を含む新参者は 幸村のたどたどしい説明から ここにおける常識をある程度聞いていた。)

ピンポーンとインターホーンが鳴る。「さすが都会・・・」と真っ白は呟きながら引き出しから印鑑を取り出し、玄関へ向かう。配達業者から注文した資料と配達料金を支払ってそれを受け取る。真っ白はそれを両手に持ちながら、空いた席に座る。注文した資料をドスンと音を立てて置く。

「あー・・・」
「うわっ。次は本で来たねー。」
「なぁ、そこ俺の席なんだが。」

佐助はお茶の入った急須とお茶菓子を乗せたお盆を手に、大量の物件の載った本を前に机に突っ伏している真っ白を見てそう呟く。微かに口が引き攣った。
元親は自分の席をとった真っ白の後ろに屈み、そう呟く。元就が「なら床に座れ」と言い放った。

「チカさん・・・代わりに探して・・・。」
「・・・なぁ 真っ白。無理して買う必要は無ぇんじゃねぇのか?」

真っ白が元親に眼前にある資料の調査をバトンタッチした後、小十郎が真っ白に最もな質問を投げかける。真っ白は首を横に振る。

「いや・・・前々から引き払おうと思ってたし・・・・・・丁度いい機会だから、この機に買い替える。正直、ちょっとうんざりしてきたし。」
「Be disgusted? 何にだ?」
「いや、色々と・・・」

政宗の質問に真っ白は苦々しく答える。真っ白の近所関係に問題はない。どうやら別の問題らしい。 地理はいい、しかし問題がなぁ・・・と真っ白は心の中で呟く。

「それに、いい加減マイナスイオンが欲しくなった。マイナスイオン、山、森、森林ッ!筍ッッ!!!」
「まいなすいおんぅ?」
「真っ白ちゃん、最後の 森林関係無い。」

政宗が聞き返し、佐助が真っ白の呟きに突っ込みを入れる。

「そうか・・・なら仕方が無ぇが・・・なら、山を含めて探した方がいいんじゃねぇのか?」
「まぁ・・・探してんだけど・・・中々いいのが見つからない・・・。」

真っ白は目を瞑り、頭を両手で抱えて苦々しく呟く。そう、真っ白がさっきから条件を変えて探していたのは山を含む物件だった。しかし、探すと十単位を超すものばかりで不必要なものがついているばかりの物件だった。貴族の買うような。正直そこは要らない。真っ白は物件を探しながらそう呟いていた。
真っ白は元親の席から離れ、パソコンとコピー機の電源を消す。もうこれ以上探しても無駄だ。あれ以上件数を超すと、逆に信用性がなくなっていく。元親は真っ白が離れた席に座る。元就が座った元親に肘鉄を食らわしていた。

またインターホーンが鳴る。真っ白はまた印鑑を手に玄関へ向かう。続けてもう一件来た。真っ白は貰った資料を靴箱の上に置き、最後の一件を貰った。


「誰か座らせてー。」
「真っ白殿、ここに座るでござるッ!」

資料を二つ持った真っ白の要望に幸村が真っ先に自分の隣を叩く。佐助はハイハイと呟いて真っ白の為に一つ席を開けた。真っ白は座る。やっぱり狭かった。
真っ白は置いた資料を 元親、元就、政宗のいる所へ、小十郎と佐助へと渡した。元就と政宗から回った本を幸村は見ていた。赤い丸や青や黒で丸と書かれたページや物件の番号が目に入る。

佐助と小十郎、 元親、元就、政宗は 真っ白から渡された大量の物件の示された本を手に一つ一つずる捲って調べて行く。最初見た本より違う物件がいくつも書かれていた。真っ白はとりあえず地域ごとにそして事前に見ていた物件と条件と場所の違う物件を扱う不動屋を見つけてはそこに資料請求をしていた。
位置と条件の異なる物件を探した結果、三件に白羽の矢が立った。彼らの望む条件は当てはまるはずだが・・・と真っ白は一人ごちる。

真っ白は佐助から貰った茶を啜りながら 幸村と共に資料を見る。茶は熱いが、疲れた身体には丁度いい。疲れた。

「真っ白殿、食べるでござるか?」

何時の間にか幸村は真っ白に団子を差し出していた。一体何時の間に作ってあったのだろうか。いや、団子を作るための材料はあったが。よく見りゃ全員団子食ってるし。あぁ、そうか。オカンか。オカンの手作りなのか。佐助さんが作ってくれたんだな。
真っ白は幸村の握る団子の串に手を伸ばし、貰うと言って口を開けようとしたが、幸村に団子を突っ込まれて言う事が出来なかった。とりあえず貰った団子を食べる事にした。幸村は団子の串を持ったまま真っ白の様子を見た。その様子を全員が見ていた事は真っ白の知る所では無い。

「佐助さん、美味しいですね。」
「え、あ、あぁ・・・」

某甘党大好き名探偵を沸騰させるような目と言葉で感想を述べた真っ白に佐助はそう返すしかなかった。

真っ白は茶を啜りながら資料を見たが、中々良い物件が無かった。真っ白が団子を食べ終えると、政宗がこちらへやってきた。どうやら、役割が決まっているようだった。

幸村、政宗、そして今真っ白を含むグループが家を決める係。佐助、小十郎が地理や状況を含めて検討して可か不可か決める役割。元親、元就が 佐助、小十郎の出した可を更に様々な面から検討して果たしてこれでいいのかと決める立場である事が分かった。

なるほど、これの方が効率が良い。と真っ白は自然に出来たか誰かが決めたかは分からないが、心の底から感心した。どちらにせよ、感心することには変わりは無い。


そして今、真っ白は元就と元親の厳選な審査の通った五件の物件を前に悩んでいる。最終的にどの物件を決めるかは ここの家主であり、買い手である真っ白に委ねられているのだ。
真っ白は悩む。ぶっちゃけいいのないんですが。
家、土地ごと含めて買う予定の真っ白には 妥協して買う、と言う言葉は無かった。気に入るものが見つかるまで買わない。ずっと真っ白はそうしていたから、男六人がこの家に来るまで家を買い替えなかったのだ。その所為で諸々の事件が起きていた、と言う事は伏せて置く。幸村が来る前の事件だ。どうせ関係無い。関係あったとしても真っ白がその事件を起こした張本人を追い返しているので問題は無い。

このような所で頑固な真っ白は自分の意思を曲げたくなかった。普段は論理的に行動しているように見える真っ白だが 自分の意思に従って行動している節がある。つまり、自分がそう思ったからやっている だけの直感的に動いているタイプの人間だ。その所為で色々と親や周りから言われてるのはこの際伏せておく。どうせ本人に直す気はないのだから。「なんか自分否定する気がするから・・・」もうどうしようもない。本人の好きにさせておけ。

結局、真っ白の考えではこの五件は保留と言う形にしておく事にした。この一言が叶わなかった時の為の。


長ぇ!\^O^/というわけで続きます。

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