65. katugu 「えぇっと…幸村さんには、前 話したよね。」 「?何を、でござるか?」 「仕事の話。」 青い人がピクリと動いたが、見ない振りをした。 「 あぁ。頭と心の病気を治す、と言うものか。」 「そう。」 「なに、それ?」 ポン、と相槌を打った幸村さんに続いて佐助さんが尋ねてくる。 「頭と心に病気を持った人を治す治療もしてんの。あくまで、その人自身が治そうとする力の手助けをするだけ だけど。」 「その人って、どんな人なの?」 「 身体障害以外で座敷牢に入れられる人。」 閉口。 「自論を言わせてもらえば、その様な病を持った人は、人一倍 他人と違う感性を持っているが故に 常人と違った見識を持つ。そして、常人が発見しゆるえない事を発見する能力を持つ。だから、私は彼らの力になるために、この仕事を持つ。」 「馬鹿な。座敷牢にいる奴ら等、使えぬ奴ばかりだぞ。」 緑の人がそう言う。 「そうだろうね。だが、それは 適当な教育と適当なコミュニケーション、交流する為の能力が欠けている為だ。彼らでも、“常人一般の教育”さえ施せれば、人並みには使えるようになる。」 「 何を戯けな、」 「証拠は、私達の世界にある。身体的機能は、幸村さんを見ている限り劣るかもしれないけど、それでも“障害”には変わりはない。」 チクリ、と心が痛んだ。 「もし信じられないようなら、後で証拠を見せてあげるよ。」 「・・・。」 緑の人はそれで黙る。 「・・・で、それとこれとが一体どういう関係にあるって言うんだ?」 「聞いている限りだと、関係無ぇように思えてくるからな。」 眼帯コンビが私を覗きこむように尋ねてくる。 瞼を閉じて、一呼吸置く。 「それが大いに関係ある。」 「、What?」 尋ねる青い人に続いて答える。 「この病気は、先天的なものか後天的なものに分かれる。先天的なものてあっても、教育や環境によって治ってくるし、それによって、もしかしたら、自分でコントロールできる力を持つかもしれない。」 「control..制御、か。」 「そ。」 青い人の言葉に答える。 「後天的だと逆に教育や環境が関係ある。先天的にしろ後天的にしろ 状況は変わりはないが・・・まぁ、それはどうなんだろ。論文の一課題でもあるし。」 「課題?」 「いや、何でもない。」 多分、彼らには関係の無い事だろうと思うし。 「だからまぁ 幸村さん達の考えに合わせてすっごく要領よく言わせてもらうと、使えるように教え直す、ってのがいいかな。多分、それで考えは当たってると思う。私も、治療と称して 色々と教えてるし。」 「それが、今日の“刺された”事? 」 「そう、今回は 『殺す恐怖と殺される恐怖』 かなぁ。あれで、植えつければいいんだけどな。そうすれば、あんな馬鹿な事件も起こらないし。」 「馬鹿な事件?」 「それは、某が後で説明するでござる。」 幸村さんがすかさずそう言ってくれた。 「ところで、話の腰折って悪いんだけど・・・。」 「何だ。」 緑の人が応える。 「スプーン、くれない?鉄分、補給したいから。」 「ほらよ。」 ヤーさんが差し出した。何時の間に。 「真田に尋ねて取ってきた。後、少しは精を付けやがれ。なんだ、あの食材は。」 「あれー。」 スプーンを口に咥えて答える。 「え。一体旦那にどんな食事させてたの、あんた?」 「いや、食事事態はいい。ただ、量が、だ。」 「量、でござるか?」 幸村さんがすかさず聞き返す。 「少ねぇ。」 ヤーさんは一発でそう言い切った。 「ヤーさん、ごめん。疲れたから眠らせて。」 「片倉小十郎って、さっき言っただろうが。」 「ごめん、小十郎さん。」 「こじゅさんでいい。」 「こじゅさん、寝させて下さい。」 「勝手に寝てろ。」 とりあえず佐助さんに担がれてベットで寝る事にしました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |