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64.あんぐりぃ
「一つ言わせてもらうけど、アンタ 馬鹿?」
「うえー。」
「包丁抜くのは危ねぇだろ。痕でも残ったらどうするつもりだったんだよ、おい。」
「えー。整形外科行く。」
「整形外科?」
「お顔とか身体の傷跡とか無くしたり直してくれるとこ。・・・あ、直したら 一生その顔だから。」
「・・・俺様、使うつもりないんだけど。」
「いや、仕事とかで。」
「余計なお世話。」
「そっか、ごめん。」
「・・・。」
「わざわざ刺さりにいくものではなかろうが。」
「えー。だって、死ぬの怖くないってだったから。」
「・・・Un?」
「いや、だから相手が“死ぬ”のに何の恐怖も感情も無かったから、私刺させて恐怖でも植え着けさせようと・・・痛い痛い痛い痛いッ!!血ぃ止まるッ!!!!」
「本ッ当、どうしようもない子なんだからッ!!!!!!!」
「痛い痛い痛い痛い!!!オロナイン染みる!染みちゃう!!オロナイン染みちゃうッ!!!」
「染みる方がいいのッ!!」
「まあ、切り傷かすり傷、って書いてはあるがな。」
「そーだな。半ば自業自得なとこもあんしな。」
「何でッ!!?!なんで鬼さんとお狐様がそんな事を言うのッ!!?!あ、血!血ぃ止まるッ!!!」
「あぁ、煩いッ!何、何でそんなに煩くすんのッ!!?!」
「痛いの嫌だから!!!」
「なら なんで刺されに行ったッ!!!」
「だから、さっきも言った通りに・・・。」
「やはり真っ白殿は某が思った通り、どうしようもなく馬鹿でござるな。わざわざあの様な者の為に刺されに行く等・・・次からは止めてほしいでござるよ。」
「あれ、なんで 私、そんなに幸村さんに罵倒されなきゃいけないの?」
「・・・命知らずな事をしたからに決まってんだろうが。」
「え。なんで。」

その一言に全員が一斉に私を見る。

「犬が主人を守ろうとしたのと一緒じゃん。救いの手を差し伸べて欲しかったから差し伸べただけで・・・一体それの何処が悪いと・・・って!痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!なんで佐助さんんそんなぎりぎり手首が捻り上げられる程に絞め上げてるのぉぉぉぉ!!!?!!」
「そりゃぁ、ねぇ。  ねぇ、真っ白ちゃぁん?さっきのお客さん、真っ白ちゃんにとって そんなに 大事 だったのか、なぁ?」
「さ、佐助さん・・・なんか、怖いです・・・冗談抜きで。」
「俺は本気だぜ?」
「言え。」
「Come clean 、してもらおうか。」
「某も聞く権利があるでござる。」
「洗いざらい話してもらうぜ?」
「俺も 答え次第では一発ぶん殴らなきゃ気が済まねぇかもしれねぇな。」
「・・・。」

神様、私、何か悪い事をしましたか?
両手で顔を覆って、現実逃避をする。この人達、拾わない方が良かったかしら。集団いじめ?

「ほらほらぁ。真っ白ちゃん、顔を上げてえ?折角俺様が治療した甲斐が無くなっちゃうでしょぉ?」

佐助さんが無理やり手を退けた。包帯は涙が染み込まないほどに と反論しようとしたが、佐助さんのにっこにこ顔には、般若がチラチラと影から現れる程の恐ろしさを醸し出していた。般若恐ぇえ!こっち見んな!!

「真っ白ちゃぁん?目ぇ、逸らさないでくんない?答えによっちゃ、俺、ここに暮さなきゃいけなくなるから、ねぇ?」
「What? 何言ってんだ、忍。Do you make a fool? 俺と小十郎の方が此処に居着くんだよ。」
「おい、俺はここに居着いてもいいんだよな?」
「我もだぞ。」
「何を言うておられるか。先程真っ白殿がおっしゃっていたでおられよう。『人口密度が大きくなるから』、と。」
「幸村さん、幸村さん、その後。人口密度が大きくなるから、家買うって。だから」
「だからって、俺から逃げられたと思ってる?」

にっこり。佐助さん背後で私の肩をポンと叩いて般若の面を覗かせている。私、滝のように涙が じょーっと出そう。
息を吐いて一言。

「幸村さん、おさk」
「旦那、酔いつぶれて言わないってのもあるから 駄目だよ。」
「承知した。」

! 幸村・佐助のコンビには勝てないッ!!

「こ、こじゅさん・・・!」
「Hey,小十郎。 DON'T GET DRANK HER だ。」
「承知致しました。」

! このコンビにも勝てないッ!!

「お、鬼さんッ!!お狐さんッ!!!」
「人を名で呼ばぬ奴にやるものは無い。」
「まぁ、俺達も名で呼んでほしいし、理由が知りたいからねぇ。」

! その前に名前 知りませんッ!!!

「さぁて。逃げ道はないけど・・・どーする?」
「・・・私、集団いじめされる覚えはありません。」
「いじめ、ってわけじゃないけど・・・あ、いじめてるってのは少しあるか。」
「なんでッ!」
「まぁまあ いーじゃん。俺達男にも、それぞれ事情があるんだから、さぁ。」
「・・・幸村さんッ!!」

説明求むッ!

「? 真っ白殿が、何故 自ら命を落とすような行動をしたのか理由を知りたいでござるから、無理だな。」

スパーンと笑顔で切られた。

「な、仲間だと思ったのにッ・・・!!」
「某は真っ白殿の味方であるが・・・今回は事情が違うでござる。さぁ、なぜあのような馬鹿な事をなされた?」

くっ・・・お前ら今日から腹黒コンビだッ!!腹黒コンビと命名してやるッ!!!

「人の事言える立場?」
「うっさいッ!」

しゅ、集団いじめ反対だッ!!!
半泣きになっている両頬を誰かがパンっと挟む。
視界に映る青とこの小手からして、青ダヌキさんか。

「Don't cry. あんたが吐けば済む事だ。」
「何をだッ!」
「手前ぇが刺されに行った理由を、だ。」
「・・・刺されに行ってはないけど・・・あくまで 自然に」
「Both are to blame.」
「・・・。」
「・・・黙ってちゃ、何も始まらないぜ?」
「・・・・・・・・・。」


パンと顔を挟まれている為に、逃げる事は出来ない。皆様も 理由を話すまで じーっとずーっと待ってるつもりだし、あぁ!もう、神様!ほんと、何しましたか?!私!!!
あんまり、自白すると言う行為は慣れてない。いや、自分自身が「自白する」と言う行為を嫌がって、避け続けているだけなんだ。それなら、これを機に向き合ってやる。こう言う事なんだろ 神様このやろー!それなら、そんな自分を叩きだしてやるさ!このやろー!!!

そう自分を奮起して、私は唇を噛み締めて閉ざしたものを開けた。あぁ。窓から日が差し込んでる。朝日だ。結局一睡もできなかった。

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あきゅろす。
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