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56.説教
"真っ白"ちゃんとやらの怒りを買って、俺らは今 床の上に正座させられています。
怒りの形相の"真っ白"ちゃんとやらに連れられて隣の部屋に移され、そこに正座させられた。彼女が俺らを連行している途中、必死で旦那が俺らを弁解してくれたが、「うん ちょっと黙ってようね」と笑顔で彼女は旦那を黙らせた。
・・・旦那、その心づかいだけは、ありがたく頂戴するわ。

その怒りで満ちた彼女は、と言うと、俺らを正座させた後、その横にある黒張りの椅子の向かい側に座り、米神を押さえて俯いていた。
何故か、旦那が俺の横に座って正座していた。

「旦那、なんで旦那も正座してんの?」
「いや、だって・・・佐助達がこうなったのも、俺の所為でもあるからな・・・。」

旦那が子犬の様に項垂れて言った。なんだ、なんだ。旦那、旦那の言う一ヶ月の内に、その"真っ白"ちゃんとやらに惚れちまったって言うのかい?

「おい、小十郎。一体何時まで、正座させられりゃいいんだ。」
「しっ!いけませぬ、政宗様ッ!!!」

ぼやく竜に右目がすかさず叱咤を入れる。右目も、止められなかった責任を感じているのだろう。(竜は旦那と喧嘩しただけであるが)右目は竜の側で正座をしていた。

「何故、我がこのような事を・・・。」
「まぁまぁ。多分、俺らがあの子の気に障るような事をしちまったんだろ?」

愚痴る毛利の旦那に鬼の旦那がそう言う。鬼の旦那の一言に、彼女がピクリと反応する。
・・・分かりやすいなあ。
やがて、その子は落ち着いたのか、米神から手を離し、正座している俺らの前に来、自ら正座をして、俺らと目線を合わせた。 あれあれ?さっきと立場、違うような気がする。

「…とりあえず・・・先に述べさせて頂きます。・・・先程の あれ。あれに触ったのは、他意や悪意があって触ったんじゃないでしょうね。他意や悪意があるならば四百字以内で述べなさい。今すぐに。」

先程ドスの入った声で怒りの形相を露わにしたのと違って、今の彼女は表面は落ち着いているように見えるが、その下では 怒りを押し殺しているように感じた。まぁ、先程と比べて、少しは落ち着いたみたいだけど。
竜の右目が口を開く。

「申し訳ありませぬ。我々は現状を計る為に貴方様の家を荒らしてしまいました。この詫び、何時か必ず返します。」
「・・・いや。そこまでは丁寧にしなくてもいいです。そこの二人も、それですか?」

右目の丁寧な物言いに、もう少し崩して言ってもいいと言った彼女。そのような対応に慣れてないのか、それとも親しみを持ってもらいたい、という意味か。"真っ白"ちゃんとやらの顔をちらっと見たら、どちらともとれた。"真っ白"ちゃんは鬼の旦那と毛利の旦那を見る。

「当然であろう。現状を知るには、現場を探さねばなるまい。」
「ったり前だろ。そうじゃなかったら荒らさねぇよ。」

鬼の旦那、それを返せば「ここに宝は無かった」って事だよね。 彼女は二人の答えにしばし考える素振りを見せて(いや 実際に考えていたのかもしれない。うーん、この子、見極めが難しいね。) 溜息を一つ吐きだした。

「一つ、ちょっと手内を空ける前に 一つ 尋いていいですか?」
「What!? 手の内を、見せるだとッ!!?!」

正座をしている竜の旦那がその体制のまま、彼女の言った言葉に注目する。
彼女は 「えぇ だから、一つだけ 確認させてもらって、いいですか?」と尋ねた。

竜の旦那は「おう」と答えたが、ちょっと、俺らの確認は? しかし、彼女はそれを全体の一致と取って話を進めた。


「えぇーと、ま 貴方の横にいる人は貴方のお伴、従者。そこの貴方は幸村さんから聞いた通り、幸村さんの部下、 そこの二人は仲良し二人組、と言うわけでよろしいですか?」

彼女の言葉に、「旦那ッ!」とキツク旦那を睨む。旦那は「すまないでござる・・・」と小さくなった。
毛利の旦那が「そんな訳なかろうッ!」と怒ったが、彼女は「反論は後で受け付けます」と流した。
へぇ、反論は受け付けんの。竜の旦那が「小十郎は従者じゃないぜ」「それも後で受け付けます。」と言って受け流した。
受け流すんだ。

「とりあえず、今から色々と説明するんで、皆さん、正座 止めて下さい。あの黒いソファに座って下さい。あ、三人掛けなんで。すみませんが、残りの三人は床か立ってるかで お願いします。」

と言って、彼女はその場から消えた。

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あきゅろす。
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