55.ドス声 「・・・ん?」 意識が目覚めて瞼を開ける。頭には柔らかい感触。視界には見慣れぬ壁。周囲を確認しようと思って視線を動かすと、どっかに消えた旦那 発見。 「旦那!旦那!」 「むぅ…」 何処かに敵がいるのかもしれないので、小声で旦那を起こす。この暗闇、どこに敵が潜んでいるのか分からない。まぁ、気配を出してれば別だけど。 旦那はうつ伏せの状態から、上半身を起こして起き上がる。正座をするなんて、旦那は変わってないようだ。 「おぉ、佐助か・・・どうした?目が覚めたのか?」 「目が覚めたのか、じゃないでしょーがッ!いきなりどっか行っちゃって!どの位人様に迷惑掛けたか分かってんの!!?!大将も俺も部下も、皆旦那の事を心配してたよッ!!?!」 「!!! すまぬッ!!佐助!一ヶ月も城を空けて、迷惑を掛けた!!この、かくなる上は切腹してお詫びを・・・ッ!!!」 「ちょ、ちょっとタンマ!旦那!! 大丈夫だってば!旦那がいない間は代わりに海野がやっていたから!ね?!!?!」 「う、うむ・・・。」 旦那の懐剣を取り上げながら、旦那を説得する。旦那ったら、大将に凄い迷惑かけたと思ったら、切腹してお詫びしようとするから、ちょっと困る。アンタ、一国を担ぐ武将なんだから、少しは自重して! 旦那と俺の声で気が付いたのか、他の連中が起きだした。・・・って、あれ? 「え、竜の旦那や右目は分かるとして・・・なんで鬼の旦那と毛利の旦那がいる訳?」 「知るかッ!」 「こっちが聞きてぇよ。おい、此処は何処だ?お?これは鏡っつー奴か?すっげー はっきりと映っているじゃねぇか。」 「Ah? ・・・Oh, you're quite right.」 「政宗様、そのような事をしておられる場合ではありませぬぞ。」 「Ah.. そうだな。手前ぇらがなんでいるかは分からねぇが・・・なんだ?こいつはぁ…俗に言う、snakeとfrogとslugの・・・」 「"三すくみ"、か?」 「That's right. 子狐さんよぉ。」 「・・・。」 「ハッ。一発やろってー言う魂胆かぁ?」 「Ha. さぁな。」 「ま、政宗殿ッ!それに毛利殿も長曾我部殿も、今は戦を止めて下されッ!今は事情が違うのですぞッ!!」 「え、旦那。別にあの三人の喧嘩止めなくてもいいんじゃ・・ 事情が違うってのは、どういう事?」 「信じられぬかもしれんが、此処は某達が知っている場所とは違うのだッ!此処で戦をしても武将か一国の長が野垂れ死ぬだけ・・・」 あ、戦を始める事に関しては何も言わないのね、旦那。 「それに、この様な場所で戦を始めようとしても、真っ白殿に迷惑がかかるだけであるから、他の場所でしてほしいでござるッ!!」 「ほぉ。別の場所ならいいんだな。じゃぁ、ちょっくら顔貸せや。」 「あぁ!長曾我部殿ッ!!それは困るでござるッ!!!今は外に出たら駄目でござるッ!!!」 「ああ?なんでだよ、おい。」 「そ、それは・・・詳しい理由は真っ白殿に聞いてみなければ分からないでござるッ!!!某も、最初の頃は『出るな』と言われたし・・・。」 「・・・。」 "真っ白"殿、ねぇ・・・。 「Hey,幸村。その真っ白っつーのは、どこのどいつだ。」 「は?真っ白殿は どいつ と言われるような方ではござらんッ!!!」 「phew! おい、幸村。そいつは強ぇのか?それとも、fall in love か?」 「 ちょっと、竜の旦那?それ以上、旦那を侮辱するようだったら、許さないよ?」 「政宗様、気を静めて下され。今は真田に喧嘩を売る場合ではございません。」 「hm. 分かっている。」 「お取り込み中のところ 邪魔して悪ぃんだけどよ、あんたらが喧嘩している間に ちっと調べさせてもらったぜ。」 うわぁ、忘れてた。つい、旦那のお守している内に、本来するべき事を鬼の旦那と毛利の旦那に取られちゃったよ。 「部屋は三つに分かれておるな。間取りは、台所に広間に寝室、と言ったとこか・・・」 「それに、虎の若虎さんが言ってる事は マジみてぇだぜ、ほら。」 「!!!」 鬼の旦那が片手に持ち上げている赤い物に、旦那が目を大きく見開いてビクリと反応した。 「ちょ、長曾我部殿ッ!!!それは駄目でござるッ!!それを元の場所に早く戻すでござるッ!!!早くッ!!!」 「あ?虎の若虎さんよ、んなに慌ててどうしたってんだぁ?まさか、これ 爆弾だって言うのか?電源みてぇなとこを触ったが、何ともないぜ?」 「変な画像が出てきただけだがな・・・。」 「な、ななな・・・毛利殿も、長曾我部殿もッ!!それを早く戻した方が良いでござるッ!!!某は 真っ白殿が怒った所を見た事はないが・・・兎に角!それを早く戻した方が良いでござるよッ!!!」 「hum? まさか、幸村…マジでお前」 「政宗殿も何を言っておられるかッ!!」 旦那の顔が一気に赤くなる。竜の旦那が「banter なんだがな」と呟いた。旦那のこの反応と、竜の旦那の突っ掛かりに反応した時の様子を見た限り・・・もしかしたら、その"真っ白"って奴は、始末しなくちゃいけないかも。 背後で気配がした。 ちょうど俺達の膝丈位の高さの寝台で寝ていたのらしい。今まで気配がしなかった、のは どうやら死んだ様に寝ていた為らしかった。その人物は寝台をがさごそと探し、何やら棒状の物を持ち灯りを発した。 「え。」 「・・・!」 「・・・w,women..?!!?!」 「はぁ!?」 「なっ・・・!?」 灯りを向けた人物に、全員言葉を失う。 そりゃそうだって。女嫌いの旦那が懇ろにしている人物だよ?誰だって男だって思うさ。 彼女は暫く、俺らを見た後、ふと鬼の旦那の片手に持つ物を注視して、 「手前ぇら。そこに座れ。」 竜の右目顔負けのドスの入った声と睨みを俺らにくれました。 banter…悪意のない冗談、ひやかし。Vひやかす、からかう[+with] 筆頭は まさか女だとは思わなくて冗談のつもりで言っていただけだった。 ※海野…真田十勇士の一人で、頭がよく参謀格で、幸村の頼りになる右腕、らしい。このサイト見ている限り、小十郎と被って仕方が無い。 後、全員の言動は、全て"真っ白"と言う存在を知らないが為に行っている事です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |