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51.すけじゅーる
何とか迷子になった幸村さんを連れて帰って帰路に着きました。


カレンダーを見てみると、何時の間にか夏が到来してきている。今年も異常気象で夏到来は無しか・・・と思っていたが、セミは元気に鳴いているようでよかった。まぁ 気温は夏とは言えないがな。梅雨だろ。
スケジュール帳を開いて予定が入ってないかどうか調べる。パソコンを起動してメールボックスを確認し、仕事の情報やらが来てないか確認し、一つ一つチェックして、重要度と優先度を決める。それを使いさしのメモ紙に書いておき、スケジュールにチェックする。
仕事の回数と頻度と見覚えのある言葉が気になって前の月を捲ってみると、ある日にちに、『幸村さん到来』と書いてあった。思い起こして、まぁ日にち的には有り得るか、と納得して数を読み進める。一、十、

「・・・あ、もうすぐ一ヶ月経ちますね。」
「・・・」

何気なくいった一言が、すごく幸村さんを 憂鬱にさせてしまった。
あ、やっべぇ と思いつつも、仕事の段取りを組む。これとあれとこれとあれにお返事を書いて、後はお断りのメール。あ、これにはお礼の返事書かなきゃ。
仕事の返信を終えて時計を確認する。よし、ある。
手元にあったスケジュール帳で曜日を確認する。よし、空いてるな。
ソファの上でうつ伏せになって腕枕をしている幸村さんに近づく。うっぐず えっぐ と、泣き声を堪えている声がする。本当は大声で叫びたいのだろう。だが、近所迷惑になるので敢えて堪えさせる。

「幸村さん、幸村さん。」
「うっ、えっぐ なん、で ござ、ろ か。」
「アスレチック、行きません?」
「うっ ふぇ あ あすれちっく?」
「うん、そ。身体動かすところ。」
「!!」

その言葉に、今まで目だけを出していた幸村さんが勢いよく顔を上げ、涙で濡れた顔のまま 嬉しそうに「本当でござるかッ!?」と大声で返した。私は うん と答えた。

「でも、泳ぎにいくだけだからね。」
「泳ぎ?」
「あぁ、後広場にも行くからね。色々なアスレチック器具があるやつ。」
「! 真っ白殿も身体を動かしたかったのでござるな!!」
「・・・うん。」

そりゃ、君が何時だって筋トレしてランニングしている姿を見ると、誰だってしたくなるさ。ちなみにこの前、幸村さんの迷子防止(と、変な所に迷わない)為の携帯を買いに言った。GPSの登録件数三件までの携帯だが。更にアンテナを除く防電波の布を買って、それを慣れない手つきで携帯を入れる袋を作って、それに幸村さん用に買った携帯を入れて、汗疹の出来ない紐を通して、幸村さんの首に掛けた。それを首に掛けている限り、外に出ても大丈夫ですから、と言う旨を伝えると、真でござるかッ!?と 幸村さんは嬉しそうに目を輝かせて聞いた。うん、本当。と伝えて幸村さんに携帯の使い方を教えた。
幸村さんが一人で外に出ている間、女子中学生とか女子関係に遭うと面倒くさい事になりそうな気がしたので、「女子に遭わないように気配を見破るのも修行の内ですよ。」と何気に助言したら、「! 真っ白殿、助言 感謝致す!」と真剣な顔つきで返した。
・・・あ、困ってたのね。女の人と話すの。

そんな幸村さんの姿を見てみると、 まぁ これ位オーバーテクノロジーだが未発達文明とか関係ないよねーアハハハー的な気持ちになるじゃないか。

「と 言うわけで、今から水着買ってアスレチックに行きます。とりあえず汗だくだから、幸村さんは今からシャワーを浴びましょう。」
「わ、分かったでござるが・・・みずぎ って、何でござるか?」
「え?水浴びする時に着るもの。まぁ、体洗うためのものなら別だけどさ・・・じゃぁ、幸村さんとこは、一体どうやって水着を着ないで泳いでたの?」
「え?褌一丁でござる。」
「・・・」

これ、水着売り場の所で話しなくてよかった。
とりあえず、 あぁ、そうなんだ。 と返して、支度を始めた。幸村さんはシャワーを浴びに行った。

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あきゅろす。
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