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49.だいかっさい!
「・・・幸村さん、それ 買ってく?」
「! いいのでござるかッ?!!?!」
「うん。その代わり、水やりよろしくね。」
「分かったでござるっ!」

幸村さんが元気よく返事して、レジへ通る観葉植物を見守る。
今日の晩飯の帰り道、新たな家族(観葉植物)が生まれました。


事は数時間前。


「真っ白殿、真っ白殿。」
「ん、なに?」

幸村さんがテレビを見ながら呼ぶ。私は仕事の手を休めずに 幸村さんの方へ目をやる。幸村さんは私を見ていた。

「真っ白殿のところでは、植物に色々と名前を付けるものなのか?」
「え?なに。」

幸村さんがテレビを指さしてそう尋ねる。今やっているのは巷で有名になっているという連続ドラマ番組だ。連ドラと言うと ドロドロの昼ドラを思い出すので、あえてこちらで。
このドラマは、植物の大の大好きな主人公が精神的な理由から植物アレルギーの女の子に恋をして、その子のアレルギーを治そうとしながら猛アタックしていくと言うドラマだ。ところどころ植物の名前や説明が出てきて、結構良い番組だと思うが、役者さんが台詞を覚えるのに大変だ。
丁度場面は、主人公が自宅で自分のかっている(?)植物を愛でている場面だ。

「 あぁ、あれはね。特殊な人なの。」
「 特殊な人、?」
「うん、植物を犬や猫…ペットと同じように可愛がっている人なの。まぁ、特殊じゃなくて、殊勝、かもしれないけど。」
「そうでござるか・・・ところで、"ぺっと"って、何でござろうか?」
「飼い犬、飼い猫、人間が飼っている動物の事。」
「ならば、武田軍の騎馬隊の馬も、"ぺっと" となるでござろうか?!!?!」
「・・・うーん・・・・・・ちょっと、違うかもしれない かな。」
「? なぜでござろうか?」
「んー・・・武田軍のとこ、って事は、軍隊でしょ?その騎馬隊なら兵器になる筈だし・・・ ペットじゃなくて"軍馬"だね。言うなれば。」
「むむむ・・・"ぺっと" ではござらんのか…。」
「うん、そう言う事。ペットってのは、軍隊に使うものではなく、"愛でること"だから。」
「愛でる?可愛がることか?」
「うん、そう言うこと。中にはすっごい人がいるから、そういうときは、生温かい目で見守ってあげること。」
「すごい?生温かい目?」
「・・・まぁ、知らなくてもいいことだけどね。」

と言った後、凄い勢いで幸村さんがそのことについて質問攻めしてきたので、「じきに分かる」と言って逃げといた。正直、ペットに凄い執着している人と関わりたくない。一般常識を超えた範囲で。あれが丸々太ったおばはんだった暁には・・・うぅ!思いだしただけでも鳥肌が立つ!思い出したくない!!

「? 真っ白殿、いかがなされたか?寒いのでござるか?」
「 いや、なんでもないよ。」

とにかく、他の人ならいいけど、あの手の人のは受けたくない。ケバイ人はお断り。(だけどそんな事を言える職業では ない)


今に戻る。


「幸村さん、重くない?」
「大丈夫でござる。これ位の事、日本男児なら持てて当たり前でござる!」
「…うん、それ、あまり人前で言わないでね。」

他の男の子が聞いたら、ショックを受けるかもしれないから。
幸村さんはクエスチョンマークを浮かべたまま私を見た。何かを期待する目で。

「・・・えーっと、どうしたの?」
「どうしたの とは、 どうしたでござるか?」
「・・・まさか、団子?」
「違うでござる。団子は真っ白殿が作っていただくのだから 問題ないでござる。」

高級老舗の和菓子や位しか、添加剤や化学調味料を使ってないのは売ってない。
スーパーで幸村さんが積み上げてあった団子に食らいついて なんとか引き下がらせるのには苦労した。


事は数十分前。


「幸村さん、幸村さん!!落ち着いて!!これは駄目!絶対駄目ッッ!!!」
「なぜでござるか?!!?!某だって、ここの金銭感覚位分かったでござる!!そしてこの団子の値段ッ!!!真っ白殿の財布に支障がないことは分かっているでござるッッ!!!」
「一個位はねッ!!!でも全部は駄目ッ!!!」
「なんででござるかッ!!?!!?!」
「それ誰が全部食べきれるのッ?!!?!?!!」
「某でござるッ!!!」
「駄目ッ!!!!!」

幸村さんが大量の団子を胸に抱えてそう大声で叫ぶ。
こちらも負けじと大声で返す。

「なぜでござるかッ!!!某、これ位のこと、へっちゃらである!!!」
「駄目ったら駄目ッ!!これは幸村さんの食べた事のないのが入ってるんだよ?!!?!!?!毒かもしれないよッ!??!?!?!!」

「ママ―、あれ、どくがはいってるのー?」
「あ!違うからッ!!!私達が食べても平気なものだからッ!!!!!」

「真っ白殿、どういう事でござるかッ!!!あのような幼子が食べれて某が食べれぬとは、一体どういうことかッ!!!」
「どういう事って・・・とにかくその団子をそこへ下して!!商品が駄目になるからッッ!!!責任持って買わなきゃいけなくなるからッッ!!!!」
「それは好都合でござるッ!!!!某、このまま団子を抱いて真っ白殿に買ってもらうッ!!!!!!」
「変なところでいばるなッ!!!子供じゃないんだから団子をここへ置きなさいッ!!!」
「嫌でござるッ!子供じゃないでござるッ!某は団子が食べたいのでござるッ!」
「今度作ってあげるからッ!!!」
「!真かっ?!!?!」
「うんッ!仕事が終わって何もないときに作ってあげるからッ!仕事の邪魔せず行儀よく待っててくれるならッ!暇だった時になら作ってあげるからッ!!だから団子を置いてそこに置いて諦めなさいッッ!!!!!!!」
「分かったでござるッ!!!約束を破った時はご覚悟なされよ!」
「はぁ、はぁ・・・      え。」


今に戻る。


「・・・大変だったなぁ・・・。」
「? なにがでござるか?」
「団子。」
「あぁ、そのことなら心配ないでござる。この前、佐助に団子を買いに行かせて団子屋が休みだったから佐助に団子を作らせたら美味だったからでござるから、真っ白殿も大丈夫でござる。」
「あれ。幸村さん、私、佐助さんと同等の立場?働き?」
「違うでござる。佐助は俺の部下でござる。」
「じゃぁ、私は?」

そう尋ねたら 幸村さんは ずっと受け答えしていた笑顔のまんま、急に パロメータがどんどんと上がっていくように 顔を赤くして、「破廉恥でござるぅぅぅぅうぅうううううッッ!!!!!!」と叫んだまんま、そう走っていった。


彼が家に着けるのだろうか?


そう疑問に思ったその時、不安になって 走って幸村さんの跡を追いかけた。
この時 幸村さんに重い物持ってくれてよかったと思った。

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あきゅろす。
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