4.さて、ごはんだ。 さて。卵も少なかったし味噌汁バージョンのねこまんまが出来上がったぞ。 二人分のねこまんまをお盆の上に乗せて客間に戻る。 客間に足を踏み入れた瞬間。 「佐助ぇぇぇえええ!!!!某の団子はぁぁぁぁあああ?!!?!!」 と叫ばれた。 お碗に集中していた自分は危うくお盆を投げ出しそうになった。 しかし、苦労してつくったねこまんまを放り出すわけにはいかない!と寸での所で思い、お盆を確りと握った。代わりに大声が出た。 「!貴殿、何者だッ?!!」 で、次はソファの上で槍を構え自分を睨んだ。床に置いた槍を取ろうとした時に転びそうになっていた。そして再度姿勢を取り直し、また自分を睨みつけた。 次に自分の手に持つお盆に気づき、注視し始めた。 その時、彼の口から涎が垂れているビジョンが浮き上がった。 ソファの上で戦闘態勢をとり、お盆の上にあるお碗に夢中になる。 失礼だが、笑いそうになった。本人にとっては死活問題、本気かもしれないが、こちらにとっては笑いを堪えるのに必死だった。 せめて、床の上で戦闘態勢をとって欲しかった。 弛む頬の筋肉を抑えてとりあえず食事を勧めた。 すると、不思議と赤い人物は了承してくれた。 よかった。このまま夕抜きはキツかった。 (昼抜きと掛けて、夕抜きだ。夕ご飯を抜かすと、後の話が辛いのだ、脳が回らない。) とりあえず座るように勧めて、獲物を手放さないようにも勧めて、赤い人の前にお碗を置いた。 赤い人物は自分の傍に対の槍を立てかけて、じっと、目の前に置かれたお碗を凝視した。 まるで、餌を待っている犬のようだ。 可愛い、と思い笑いそうになるのを堪えて、いただきます。と言って手を合わせた。 彼も、慌てていただきます。と言ってお碗に手をつけた。 その様子に、ますます可愛いと思いながら、私も今日の夕食に手をつける。 目の前の人物は、さも足りなさそうに「馳走になった・・・」と、しょんばりと耳を下げるようにお碗を机の上に乗せた。 (あぁ、可愛いなぁ!) [*前へ][次へ#] [戻る] |