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39.5.消えた
旦那が消えた。
眠る眠れないどころの話ではない。旦那が消えた。冗談じゃない。
俺が旦那の団子と茶を取りに行っている間に旦那が消えた。誘拐と奔放はすぐ消えた。旦那には有り得ねぇ。奔放は前田の風来坊じゃあるまいし、大将無断・・絶対ぇ有り得ねぇ。旦那可笑しくなっちゃったの?え?またザビーに洗脳されちゃった?俺様困っちゃう。でも まだそっちの方がマシかも。
誘拐。旦那ほどの武将が有り得ねぇ。っつーか騒音で気づくから、騒音で気付くから、俺。ってか、なんで旦那誘拐すんの?え、万引き?引き入れ?旦那は大将一筋なんだから駄目だっつーの。無理だっつーの。
え、じゃぁ なぁに?なんで旦那消えたの?

「・・・そんなの俺が知りたいよー。どこにいるの、旦那ぁー・・・・・・・・・・・・・・・。」

大きな杉の木の天辺で胡坐をかいて米沢城を見下ろす。あー、もう辺りは真っ暗。忍びこむには最適ー。でも煩い竜とその右目の相手が邪魔くせぇー。最良なのが誰にもバレずに忍びこむ、ってのが一番だけど・・・なんでだろうね。なぁんか、独眼竜とかオクラや北条んとこ忍びこむと、大抵バレちゃうんだよなー・・・雑魚に限ってそれはないのに。なんでバレちゃうの?え、俺様のスキル不足?え、俺様猿飛佐助だよー。

「だから旦那出てきてー。」

なぁんて、現実逃避してみる。っつーか、旦那、あんた。ほんッと、どこ消えたわけ。
旦那が消えたから大将んとこ行って旦那の安否尋ねたら大将目カッと見開いて俺のこと打って「幸村ァァアア!!」と叫びだしたし、俺に連日徹夜言い渡したし激務な任務言い渡したし外務手当出してくれるか微妙だし旦那の出した給料袋もどっか行ったしその給料もなんか少なかったしほんとこの軍は安月給というかなんというかほんとかすがんとこ羨ましい。俺も他の軍に移ろうかなぁってたまにほんのたまに考えるけど、やっぱ大将と旦那がなんか放っておけないというかなんというか

「ほんと、旦那。帰ってきて。」

切実な願い。これで旦那が帰ってこなかったら俺、泣くよ。俺様号泣しちゃう。独眼竜の旦那んとこにいなかったら俺、その日から全国津々浦々。旦那を探す旅に出かけちゃうよ。ぶっ通しで全国駆けまわるよ。俺の相棒も疲れちゃうって。過労死しちまうって、旦那、本当マジ頼むから出てきて下さい。まじで。

「俺様死んじゃうよー、旦那ぁー。」

頼む、いや、マジで頼む。
そんな俺の願いも空しく、旦那と独眼竜が暴れだす気配は無い。あーあぁ、外れかなぁ。まぁ、いいや。とるもんとりますから。貰うもの、貰いますから。

俺様はしゃきっと立ち上がって相棒を呼び出す。
あぁ、相棒・・・今から全国津々浦々の旅に出ような・・・。

前田の風来坊の居場所を考えつつ、相棒の足を掴んで米沢城へ侵入する。あぁ、頼むから独眼竜の旦那。旦那いなくてももう構わないからせめて旦那だけの居場所を教えて。



(旦那、旦那、ほんと どこいるの。)



急に佐助を書きたくなった
佐助+αがもう少しでくるお話


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あきゅろす。
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