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36.にもつの山
お家に帰ったら、荷物の山が届いていた。

「真っ白殿ッ!?!?!!どうしたでござるかッ!!?!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、なんでもない・・・。」
「真っ白殿・・・疲れたで、ござるか・・・?」
「・・・ぶっちゃけ、この荷物の量みて、疲れた。」
「そ、そうでござるか・・・。」
「・・・まぁ、いい!私は明日やる!!明日荷物片付ける!!!」
「 その意気でござるよっ!!!」
「・・・ん。」

荷物の量に驚いて落としたスーパーの袋の無事を確かめつつ、入り口の荷物を退かした。卵入ってる方の袋、幸村さんに持ってて貰ってよかった・・・。

客間の机の上にスーパーで買った袋を全部置く。幸村さんのは先に貰って、彼には段ボール詰めになっている荷物を客間に運んできてもらっている。・・・と言うか、最初荷物退かした時にほとんど幸村さんが退かしてくれたので、彼の荷物を持って私は突っ立っていただけなのだが。

幸村さんに荷物を運んでもらっている間、私は看板を探す。とは言っても棚の上に置いた看板を取りに行くだけだ。釘をケースの中から一本取り出す。
幸村さんが荷物を運び終えるのを見計らって私は外へ出て扉を閉める。
実はこの扉、窓の上に小さな穴が空いていて、そこに釘を入れてこの看板を吊るす と言う仕組みになっている。ちなみに改良したのは私だ。この家を渡す前に何とか直さねば・・・。(大家さんに許可を貰った時、綺麗に直すなら と言う条件の下で行ったのだ)出来ればお金を掛けたくない。

扉の穴に釘を回し込んで入れ、看板を吊るした。
『本日休館』
後で何時まで休みか書いておこう。

それらを終えて私は中へ入る。もちろん鍵を掛けて、だ。もう今日は無理だ。疲れた。そしてこの仕事の間に休日を一つ設ける。

幸村さんは丁寧にも荷物を奥の方へ移動してくれていた。・・・いい子だ。
とりあえず 食事よりも先に幸村さんにシャワーの使い方を教えよう。あぁ、と、その前に。

「幸村さん、幸村さん。」
「なんでござるか?」
「幸村さんは お風呂、入ります?」
「? 入るでござるよ?」
「毎日 ですか?」
「・・・まい・・・たまに、でござろうか・・・。」
「たまに、ですか?」
「あぁ。稽古の後は大抵、水浴びをするからな。」
「水浴び・・・。」
「井戸の所で な。それがどうかしたでござるか?」
「あぁ、いや・・・こっちでは季節によって入る、入らないがありますから。」
「そうでござるか 」
「ん、で、今日は疲れたんでお風呂にします、わー。」
「わー。」

・・・ちょっとのってくれた事に感謝した。

「で、お風呂の準備している間に幸村さんに こちらのお風呂の使い方を教えまーす。」
「教える?湯船から桶で湯を汲むのではないのか?」
「いえ、シャワーと言う便利な道具があります。」
「シャワー・・・朝言っていたものでござるか。」
「ええ。ぶっちゃけ見た方が速いです。と、言うわけでシャワー室へ行きましょー。」

「・・・真っ白殿。」
「・・・なんですか?」
「なんか口調が変でござる。」
「疲れてますから。幸村さんも変 でしたよ。なんだか何時もと違って。」
「何時も?」
「ここにきてから喋っていた幸村さんの口調。」
「・・・・・・、  そうでござろうか?」
「・・・ まぁ、人の目見抜く、って言うのはまだ慣れてませんからね・・・。」
「 人の目、でござるか?」
「・・いえ、こちらの話です。」

人の目見抜く、と言うのは その人の行動や口調でその人の人柄を完璧に見抜く、と言う意味だが・・・まぁいい。
私は幸村さんにシャワーの使い方を教えてあげた。

「で、こっちでお湯の温度を変えるんです。」
「ふむ・・・中々便利なものでござるな。」
「えぇ。後、これで出る方が変わります。」
「ほぉ・・・ 」
「後、ここでお風呂を張る。」
「おぉ!」
「で、こちらが髪を洗う方でこれは髪を保湿するもの、この石鹸で体を洗います。」
「ま、真っ白殿の世界では このような物を使うでござるか・・・ッ!!」
「えぇ、使いたくなければ使わなくていいですよ。」

何か体洗うと免疫落ちて益々弱くなるって聞いたし。
あ、沐浴とか入浴の意味じゃなくて、洗剤使って体洗う意味で。・・・洗剤と言うよりシャンプーとか、か?ま、いいや。

「・・・でも、真っ白殿の世界では これを使うのが当たり前であろう?」
「まぁ。」
「・・・ならば某も使うでござる。」

幸村さんが口をキュッと引き締めてそう言う。
幸村さんの話とかシャンプーとかの反応を見る限り、こういうの(シャンプー)を使うのに慣れてないようだ・・・と言うか初体験。
・・・あの話が本当で免疫落ちるとヤバいしな・・・・・・。幸村さんが元の時代戻った時に厄介な病気に侵されるとまずい。非常にまずい。と言うか私が嫌だ。なんとなく。感情論で。

「真っ白殿、どうしたでござる?」
「・・・・・・いや・・・ 」
「・・・真っ白殿、この真田幸村を甘く見ないでほしいでござる。某、お館様の上洛を果たすまで、死なぬ覚悟でござる。」
「・・・それなら良かった。じゃぁ使っていいよ。」
「ありがとうでござる。」

そんな会話をしている内にお風呂は・・・溜まっているわけがなかった。ちくしょ、長く経ったと思ったのに。
仕方ないから 幸村さんと一緒に今日着る物と共に荷物の整理をした。時計を見る。大幅に時間が通り過ぎ去っていた。湯船からお湯が溢れだしていた。危うく床が水浸しになるところだった。今月の水道代を危惧した。

幸村さんの着替えを洗い場の棚の上に置き(ちなみに着方は 荷物を整理している時に教えた)、夜食の準備を始める。もうこの時間帯は夜食です、夜食。
軽い物、と言ったが正直ここまで来たら私は・・・いや 食べるか。食べるな。一口いれたらもう一口、そして延々と食べ終えるまで止まらない、だな。


手にある食材でカロリーが低くて満腹する献立を考えながら、手持ち無沙に食材を弄んだ。





+++
お風呂でのお館様のお話…とりあえず幸村は何があっても死なないと言う決意のお話→それで真っ白安心
理由:シャンプー使って免疫落ちて死なれると困るから




(私に関わった人は死んでほしくない。せめて老衰にしてほしい。せめてその人の夢か望みが叶ってから死んでほしい。私はわがままだ。わがまま。)

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