[携帯モード] [URL送信]
35.買いだめ
「幸村さん、何食べたい?」
「某、釜飯が食べたいでござる!!!」
「・・・釜が無いから鶏めしで我慢してね。と言うか時間掛かるよ。」
「何ッ!?真っ白殿の所では釜が無いでござるのか?!!?!」
「や・・・本格的なのを買うと高い。あまり普及してないと言うか・・・今や釜を使える宅が少ない!」
「真っ白殿?!いがかなされたッッ!!!?!」
「いや・・・ただ言ってみただけ。」
「そうでござるか・・・。」

無事 他の買い物を終え、今日の夕飯の食材を買いに来ている。カバンを開けたらこーぷの袋があったので こーぷに来た。やっぱコンビニよりも安いよ、こーぷ。と言うかコンビニのは地元産と書いてなきゃ なんだか不安だよ。化学薬品とか。

カートを押しながら一つ一つ食材をチェックする。幸村さんはカートを押す私の後をヒヨコのようについてきてくれている。

「真っ白殿、真っ白殿の所では食事は即座に出されないのでござるか?」
「んー・・・なんで?」

私はキュウリの質を確かめながら幸村さんの問いに答える。

「某の城では、夕飯の時 即座に出たでござる。」
「城、某の・・・即座・・・・・・・・・あぁ、 幸村さん、幸村さんの城には女中さん、いたでしょ?」
「いたでござる・・・・・・ 真っ白殿、上田城は某の城ではござらん。お館様から任された城なのだ。」
「ん、んー?」

いまいち幸村さんの言っている事が分からなったが、 幸村さんの城=上田城=お館様から任された城 と言う方程式を自分の中で立てといた。

「真っ白殿、なぜこのキュウリは真っ直ぐで いぼがついておらんのだ?」
「皆さんがそう願うからだよ。幸村さん、城のこといいの?」
「 城、でござるか?」
「うん、さっきの女中さんの話。」
「女中・・・・・・・・・」
「ん、そう。で、夕飯の話。」
「!あ、あぁ!それでござるか!!!答えてほしいでござるっ!!!」
「うん、分かった。それはね、女中さんが時間を掛けて作っているからだよ。」
「・・・どれ位で、ござろうか?」
「・・・。」

一、二時間 と答えたかったが、幸村さんにこの時間の単位が分かるかどうか分からなかった。
とりあえず。

「幸村さんが朝から夕まで稽古しているほとんどの時間。」
「なんと!!」
「後、一から釜飯・・鶏めしと作ると、幸村さん きゃーきゃー喚くと思う。」
「・・・某はきゃーきゃーと喚かないでござるよ・・・。」

幸村さんが口を尖らせて私の服の裾を掴んでそう反論した。あ、拗ねるんだな 拗ねた姿も可愛いな。

「ま ものの例えだよ。」
「ものの例えでも 某は女中達のようにきゃーきゃー喚かないでござる 。」

幸村さんが語尾を強めてそう言う。その女中さん達に余程嫌な思い出でもあるのかな。幸村さんは少し怒った風にそう言った。

「そっか、 気に障ったなら 、ごめん。」
「ん、いいでござる。とにかくも。某は真っ白殿の料理が出来るまで辛抱強く待つでござるッ!!!!!!!!」

幸村さんが握り拳を作ってそう断言する。あ、なんかちょっと涎が見えた・・・けど幻覚か 幻覚だな。

「でも、私が待てない。」
「そ、そうでござるか・・・?」

幸村さんがちょっと残念そうに言う。

「うん。途中で摘み食いしまくって、結果 放棄。」
「放棄でござるかッ?!?!!」
「うん。そう、そんな風な ややこしいの作 ろうとした事はあったけど・・・途中で止めちゃってね。路線変更した。」
「へ、変更したでござるか・・・。」
「うん。一人だしね。」

一人だから、何食べても自由だった。

「あ、手伝ってもらうなら何とか最後まで出来るけど・・・。」
「某が手伝えば、でござるかっ!?」
「まぁ・・・だけど包丁とか持ったこと、ある?」

先程の話を聞いていると、料理したことがないように思われる。

「・・・・・・ないでござる・・・・・・。」
「じゃぁ、今度時間がある時に教えよう。」

今後の予定として私は幸村さんにそう言った。

「そ、そうでござるか・・・?」
「うん。でも今日は忙しいから駄目。」
「真っ白殿・・・忙しいのでござるか・・・・・・?」
「んー…まぁ、片付けとか準備とか。後、遅いから。」
「遅い?」
「時間が。」
「・・・。」

幸村さんはぐるっと首を回して辺りを見る。

「明るいでござるよ?」
「ここはね。」
「真っ白殿、某を馬鹿にしないで欲しいでござる。外が、でござる!!」
「 ・ ・ ・  あぁ、ごめん。でも、他のすると時間がかかるし、教える時間はありません。」
「どうしてもでござるか?!」
「どうしてもです!」
「どうしてもどうしてもどうしてもでござるかッッ!!!!!」
「どうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもでございますよッッッ!!!」
「どうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうし」
「幸村さん、ストップ。なんか変な事をやってるよ、私達。」
「・・・変なこと、でござるか?」
「うん。」

とりあえず、包丁教えますとの話は流す事に成功した  、と思いたい。

次に買う物を考える。


「真っ白殿。」
「ん、なに?」
「某、真っ白殿の作るものなら、なんでもいいでござる。」
「不味いものでも?」
「!!!?!!」
「や、冗談。いくらなんでも 客人に不味い料理は出せないでしょ。」
「    客人、 で ござるか。」
「うん。」

そう割り切りなければ。幸村さんは、"客人"。

「だけど量は沢山作るよ。」
「それは有難いでござる!!」
「ん、とりあえず四人前作ろう。」
「四人前・・・で、ござるか?」
「ん。幸村さん、どの位食べるか分からないから。」
「某、いっぱいいっぱい食べるでござるよ。甘いものなら尚更でござる。」
「ん、甘いものは夜食べると太るから、あまり食べないようにしようね。虫歯になるし。」
「むしば?虫歯とは、どういうものでござろうか?」
「んー・・・とにかく痛い。」
「痛い?」
「ん、とにかく痛い。」
「痛い・・・どんなに痛いんでござる?」
「・・・甘いものが食べられなくなる位に。」
「それは困るッ!!!」

幸村さんが泣きそうな顔でそう叫んだ。
周りがバッとこちらを向いたが無視した。

「ん、だからたくさん作るよ。幸村さんが甘いもの食べないように。」
「そうでござるか・・・。」
「でも、味は変わるよ?」
「え。」
「毎日料理しても、毎回味変わるし・・・。同じのが出来ても、微量で違うし・・・。」
「・・・そのようなものでござるか?」
「・・・そのようなものでございますよ?」

幸村さんの問いに私も問いで答える。また私も幸村さんと同じように勉強しなおした方がいいのかな。

「とりあえず今日は軽いものを作らせてもらうね。疲れたし。」
「分かったでござる。」
「あ、これ買っておこう。」
「真っ白殿!これは何でござるかっ?!!!!?!」
「毒。」
「毒ッ?!!」
「あ、(落ちた・・・)ただ、幸村さんにとって毒になるかもしれない、ってこと。」
「・・・!!!」
「中毒みたいになったら困るから・・・買いません。」
「某も欲しくないでござるッッッッッ!!!!!!!!!!」

幸村さんが涙を溜めて断固拒絶した。
近くにいた小さい子が「おかあさぁん、これ、どくなの?」と尋ねているが、無視する事にした。や、毒だけどね。現代人の私達にはもう慣れきって毒じゃないけど体に悪い事は確かだし。

とりあえず、今日の夕飯の食材と共に お菓子を作る為の食材も買っておいた。
お菓子を作るコーナーで、幸村さんに「幸村さんのところのお菓子って、何がありました?」って尋ねたら、見事に和菓子のオンパレードだった。

・・・私、和菓子作れないよ・・・・・・。

とりあえず和菓子より洋菓子の材料を多めに買っておいた。いざとなれば洋菓子で攻めよう。和菓子はどっかの老舗で買えばいい。老舗好きです。昔ながらの味がするから。
そこまで考えてふと手を止める。あれ、和菓子と洋菓子いらなくね?しかし、幸村さんに包丁教える事を言った以上、それならお菓子の作り方とか教えちゃえばいいや。と思い、和菓子と洋菓子の材料をそのままにした。


カゴが山盛りの状態で会計に臨んだら、万を越えました。



(・・・スーパーで万越えたの、初めてです・・)

[*前へ][次へ#]

34/122ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!