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31.お出かけ準備
ガラスの割れてた棚については、そこを取り外して素面で晒していたやつを置いてその中に入ってたのは別の場所に入れるという事でケジメがついた。

「ま、真っ白殿・・・?某、何か悪いことをしてしまったであろうか・・・?」
「や、いいよ・・・。とりあえず、今後あんな大きな亀裂が入らないように力加減してね。」

まさかあんな大きな亀裂が入るとは思わなかったし。

化粧台の奥に閉まった箱を取り出して暗証番号を嵌め込む。幸村さんは私の手元を不思議そうに覗き込む。

「真っ白殿、それは何でござるか?」
「んー?それは後でね。」

頭の中で幸村さんに説明する文を考えながら、暗証番号を嵌め込み終える。カチッと音がして箱が開く。
そこに入ってたのは通帳とカード。とりあえずプラチナの方を取り上げる。

「真っ白殿、それは?」
「ん?制限付きの打出の小槌。」
「打出の小槌でござるか!!」
「ん、制限付きだけど。」

目を輝かせた幸村さんにそう釘を刺しとく。
それを何時も持ち歩いている長財布に差し入れ、上に着るポケットに差し込もうとした・・・が、無理だった。
仕方なく小さいカバンを取り出して、それに買い物袋と財布と携帯を入れる。
大抵私は、上に羽織る上着のポケットに買い物袋と財布と携帯を入れてスーパーやマーケットに買い物に行く。
準備を終え、幸村さんに出かけることを伝える。幸村さんの目は輝きだした。と言うか、この人さっきから目を輝かせっぱなしだよ。外出て行く事伝えたときから。

幸村さんと一緒に玄関へ行く。
靴は何時も履いているやつでいい。幸村さんの靴は、確か・・・男避けだ!と言って貰った靴があったような・・・あった。黒のニケのシューズ。
一度履いてみたが、見事にぶかぶかだった。あぁした天気になぁれ をやると見事に空に飛ぶようなぶかぶかさだった。

「はい、幸村さん。これ履いて。」
「真っ白殿、これはどのようにして履くのでござるか?」
「こうやって。」

と私は今日履く靴を履く。幸村さんも私の真似をして履こうと奮闘した。
・・・。

「あ、真っ白殿・・・かたじけないでござる。」
「ん、いいよ。」

幸村さんの靴紐を緩めてあげることにした。それを終えた後、玄関先に置いた幸村さんの靴を靴箱の中に隠しておくことにした。泥棒とかが怖いんだよ、これ。探すのめんどいし。

「真っ白殿、これ・・ぶかぶかでござる。」
「ん、ちょっと待っててね。座って待っててね。」

隠し終えると丁度幸村さんが靴を履き終えて立っていた。そんな紐の解いた状態で歩くと、こちらもそちらも迷惑が掛かる。踏むぞ。転ぶぞ。
幸村さんが私が言ってくれたとおりに座ってくれた。だが、しゃがみ込むのはやりにくいんですが。

「幸村さん、そこ 座って。」
「分かったでござる。」

幸村さんに玄関際の床に座ってもらって、ばらけた足を整える。右足から順に、緩んだ紐を締めて蝶々結びにする。

「痛くない?」
「大丈夫でござる。」

蝶々結びを終える。幸村さんに いいよと言って立ち上がって貰う。
幸村さんは暫く自分の姿を呆然と見ていた。

「? どうかしたでござるか?」
「あぁ、いや。別に。」

鉢巻はしてなかった。

幸村さんの準備が整え終わったのを見て手を差し出す。ちなみに戸締りは完璧だ。昨日仕事行く時から完璧に戸締りしたのに全然手を付けてなかったからな。稼動したのはガスと換気扇だけだしな!それにガスの元栓と換気扇の電源も切ったし!

幸村さんは私の手を呆然と見つめる。


「手、握りましょう。」
「え?」

幸村さんの顔が ボッと赤くなる。

「は、はれんちで」
「迷子になりそうなので。」

と、また叫びそうになる幸村さんに間髪入れず言う。
幸村さんは赤い顔のまま暫く唸ったあと、私の手を取った。
私は幸村さんの手を強く握る。

「何があっても、離さないでくださいね。」

彼の手を強く握り返すと、「御意・・・」と真っ赤な顔の幸村さんが私の手を握り返しながら小さな声で言ってくれた。



(また、黒い穴の中に落とされるのは、ごめんだ)


あれは闇(クラ)くて怖い

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あきゅろす。
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