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30.だんどり
とりあえず、お腹が程々に空いている時の量で朝ごはんを作った。計画通り、幸村さんがそのほとんどを食べてくれた(私はいつもの量だ)。まぁ、計画通りじゃなくてもラップ掛けて冷蔵庫に入れとくけど。
幸村さんが一服したのを見計らって、今日行く場所を教える。

「にとり、でござるか?」
「うん。そこで色々と日常的なのを買わなきゃいけないし。」

幸村さんは湯のみから口を離して私に尋ねる。
その後行く予定の場所を幸村さんに言った。
幸村さんは私が言った場所の名前を反芻しながら眉を顰めた。
湯のみとポットを机の上に置いたままにして、食器を片付けに洗い場へ行った。

「真っ白殿。」
「ん。何?」

幸村さんが客間から顔を覗く。

「某に何かできることはないでござるか?!」
「うーん・・・今は特に無い、かな。飲み終えたらそこに置いといて。」
「了承したでござる!」

幸村さんはそう言って、湯のみとポットをそこに置いてきてくれた。

「ポットの、全部飲んだ?」
「いや、まだ残っているでござる。」
「そっか。」

後で全部飲もう。

「あぁ、そうだ、幸村さん。」
「何でござるか?」
「赤いやつ以外なら、何触ったっていいよ。」
「本当でござるか?!」

幸村さんの目が輝く。

「うん、壊さないように触ってくれれば。」

そう一言付け加えて言うと、「御意!」と嬉しそうに幸村さんは客間に戻っていった。やっぱり周りのものに興味があったんだなぁ。
がんがんとかどんどんとかシャリシャリとか音が聞こえるけど、亀裂音や破壊されててもいいや。ある程度損傷がひどかったら買い直すし、ちなみに洋服箪笥も買っておこう。自分の服が入らなくなってきた。

洗い物を終えると、棚の一つのガラスが割れていた。
どうしよう、もう一つの棚を入れる余分なスペースが無い。

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