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111. 午前九時二十五分
とりあえず 酔ったナリさんに水をあげて休ませた後、掃除を始める事にした。

「久々に一緒に行動する事になったね、幸村さん!!」
「そうでござるな!某、真っ白殿と 一緒に行動することが出来て 嬉しいでござる!」
「うん。・・・でも、なんか この部屋・・・なんか訴えてきそうな気がしてならないんだよね。」
「それは気にしてはならない事でござるよ。」

私と幸村さんに与えられた場所は、子供部屋らしきところ。まぁ、あそこに よりはマシかと思うが・・・・・・。


今から五分前。


「と言うわけで。今から担当する部屋を決めたいと思います!」
「Wait, 家の構造も知らねぇのに 役割分担をする件について問い詰めてぇんだが。」
「そこは気にしなくていいよ、竜の旦那。俺様がパパッと家の中調べて来たからね。」
「おぉ!流石は佐助でござるなッ!!!」
「いやぁ、褒めないでよ旦那ぁ。じゃ、給料上げて。」
「嫌でござる。」
「!!!」
「・・・じゃ、佐助さんの情報を元に 家の中でも書こっか。」

と、カバンから紙とペンを出して縁側の廊下の上に置いて、大きく四角を書く。

「紙コップと言い、筆と言い。何でも入ってんだな、その鞄。」
「いいじゃん、別に。」

と、チカさんの呟きにそう返し、佐助さんの言う通りに地図を書く。

「俺が書いた方がいいわ。」

と、佐助さんは私からペンを取り上げて パパッと地図をたった数秒で完成させた。

「おぉ、早い!」
「へへん。ま、こう言うのは慣れてるからね。」

と 佐助さんは得意そうに言う。仕事とか仕事の提出をする時等に よく使うのであろうか。
佐助さんが作ってくれた地図を元に家の配置を見る。チカさん、政宗さん、こじゅさん、幸村さんも 佐助さんの作ってくれた地図を覗き込んだ。よろよろと柱に寄り掛かっていた なりさんもやってきた。
二階構造になっていて、上が物置みたいになってて、台所とか客室と言ったのが下の階にあって、主にそこに家具が散らばっているのらしい。
家具の損傷は?と佐助さんに聞くと、風化が少し だけど使えるには問題の無い。と返された。・・・もしもの為に机買うお金だけは残しておこう。

「・・・さて。家の配置が分かったと言う事で、各々の配置を決めたいわけなんだけど・・・。」

と、佐助さんは 佐助さんの書いてくれた地図に集まっている私達をぐるっと見回して 視線を横に逸らす。地図を再度確認すると、佐助さんが小さい字で、仏間 と書かれた部屋があった。他の部屋は普通に(一目で文字が書かれている事に気付くような大きさで書かれていて)分かるのに、何故かこの文字だけ、再度読み直してじっくりと地図を見ないと分からないような字で書かれていた。・・・え、なにこれ。いじめ?

「はい、佐助さん。」
「ん。何かな、真っ白ちゃん。」
「ここの小さな文字で書かれた件について。」
「あぁ、それね。俺様のちょっとした出来心。」
「出来心だけでしないでくださいッ!! 後一歩の所で、この部屋に配置する危険性があったじゃないですかッ・・・!!!」
「うーん・・・それはそれで ちょっと見たかったんだけどなぁ。俺様。」
「me,too.」
「やー…想像はついてるが、なぁ・・・。」
「お前ぇ等、何を言ってやがんだ。仏さんに失礼だろーが。」
「貴様等。日輪を愚弄する気か。」
「某も見たかったが、その手が苦手な為 御免こうむるでござるよ。」

なりさん、ここの人が日輪だったかなんて 知らないから。
こじゅさん。その仏は、一体どっちの事を言ってるの?ちなみにその手の物は知り合いが回収したらしいから一応大丈夫なみたいだよ。
幸村さん。何 人を安心させておいて恐ろしい事言ってるの、この子。
政宗さん。何英語の発音流暢に言って 何発言してるんですか。
チカさん。その言葉に続く物はなんだ。言ってみろ。

言いたい事は一杯あるが、どうやってして言えばいいのか分からず、暫く頭の中で考えている内に、話は進んでいた。

「うーん・・・ま、仏さんに失礼なのは失礼だったか・・・ごめん。俺が悪かったよ。」
「ならいい。」
「しかし、此処。誰がやるんだ?」
「俺は嫌だぜ。」
「我は他人の世話をする毛頭は無い。」
「しかし、仏間は無いようであるな。」
「持ち去られた形跡があったよ。」
「何?じゃぁ 夜盗の仕業もあるって事か?」
「さぁ・・・多分、そうじゃない?でも、壁なんかに 何かが掛けられていた跡があったんだよね・・・。」
「・・・金目の物じゃねぇのか?」
「戯け。何故仏間にその様な物を・・・」
「・・・此処の一種の風習とかだったりして・・・」
「・・・んなの、聞いた事ねぇぞ。」
「某も無いでござる。」
「keep on arguing よりも、本人に聞いた方が早いんじゃねぇのか。なぁ、真っ白。」
「え。あ、うん。」

政宗さんに促されて、佐助さん達の話の輪に加わる。

「そう言う風習、うちには無いよ。」
「無いんだ。」
「じゃぁ、何か掛けられた跡は?」
「・・・多分、掛け縁の跡だと思う。写真、って言う技術がこっちにはあるから、そこに亡くなった方の遺影を掲げるの。・・・引っ越すと同時に、持ってたんじゃないかな。仏様と同じように大切な物だから。」
「ふぅん・・・そっか。」
「・・・謎が解けたところで悪ぃが、此処。誰が掃除する事にすんだ?」

こじゅさんの言葉で、一同 言葉を噤んだ。

「・・・とりあえずさ、何か 幽霊とか仏さん信じて無い人が、やればいいんじゃない?私は先に言っておくね。却下だから。却下。」
「某も嫌でござる。怖いでござる。」
「俺は んなの信じてねぇが、refusalさせて貰うぜ。」
「・・・俺は断固断らせてもらうぜ。」
「我は日輪以外を崇拝せぬ。」
「俺様は・・・別の場所やらせてもらおうかな。手が足りなかったらやるけど・・・。」
「手前ぇ等・・・何嫌がってんだ。なら、俺が此処をやるぞ。いいな!」
「うん。じゃ、こじゅさんと なりさんで此処お願いね。」
「おい。何故我がこいつとなんか・・・」
「なりさん、日輪以外信じてないから丁度いいじゃない。じゃ、政宗さんとチカさんと佐助さんと幸村さんは・・・」
「あ、俺ぁ家の修理しとくぜ。」
「え。」
「ほれ、あそこ。雨漏りしかけてんだろ。」

と、チカさんが指さす先を見てみると、ぽたぽたと何かが伝っているのが分かった。・・・ん?確か昨日、雨なんて降ってなかった筈だが・・・。
・・・ま、きっと何かだろう。

「じゃぁ、政宗さんは・・・。」
「Ah..俺は此処を掃除しとくぜ。」

と、広い居間を指さした。

「・・・。」
「おい、小十郎。何だ、その目は。」
「いえ・・・政宗様お一人で大丈夫かと・・・。」
「Don't worryだぜ、小十郎。俺を信じろ。」
「しかし、ご自分の部屋ですら・・・」
「SHUT UP! 小十郎ッ!!」
「・・・じゃ、俺様は竜の旦那と一緒に居間を掃除するからね。」
「うん。」

居間は佐助さんと政宗さんが担当する事になった。

「じゃ、残りは・・・」

佐助さんが書いてくれた地図の居間に 佐助・政宗チーム、仏間に小十郎・もとなりチーム、外全体をチカさんと書きながら、名前の書かれたない残りを見る。
二階の三つに区切られた部屋と一階に残された台所と大きな部屋と小さな部屋を見る。幸村さん一人だと心配だから、私かチカさんと一緒のところがいいだろう。そう思案に暮れていると、横から腕が伸びてきて、二階の空いた部屋三つに、私と幸村さんの名前が書かれた。

「これでいい?旦那。」
「うむ。天晴れでござるぞ!佐助ッ!」
「slyだぜ、幸村。」
「おいおい。俺のとこは一人かよ。真っ白をコッチにやれや。」
「戯け、乳首。お前の腕力と真っ白の腕力を同じにするではない。筋肉馬鹿。」
「あぁ?筋肉馬鹿だと?」
「あぁ。耳が遠くなったのか?我は貴様を筋肉馬鹿と罵ったのだ。この乳首。」
「そー言う手前ぇは もやしだよな、もやし。」
「フン。我は智将故に筋力等必要無い。もやしは食せるものであるから貴様よりマシだ。筋肉の部分は固くて食しにくい…。」
「おい。話が変わってんぞ。」
「じゃ、皆が終わったらチカさんの手伝いをする事にしよう。木とか足りないと思うし。」
「そうだな。じゃ、俺等の方も終わったら、長宗我部の方を手伝うぜ。」
「うん。ついでに木を切る時は此処から道路へ向かって切って行ってね。さっき乗った車が通る位。」
「え。このままじゃ駄目なの?」
「うん。引っ越しの時 大変だから。」
「へぇ。でも、武器はどうするんだ?俺達は今、武器を持ってないぜ?」
「えぇ・・・佐助さん、緊急時の武器は?」
「持ってるけど・・・期待しない方がいいぜ?」
「・・・じゃぁ、箒とちりとりで・・・。」
「Hey,真っ白。俺達を馬鹿にしちゃいねぇか?箒は六本用意しろ!!!」
「某はこの熊みたいなほうきを二本だけでいいでござるよ。」
「真っ白、我の戦輪はどうした。」
「あ。フラフープしか無い。」
「・・・それで事足りる。」
「ま、俺ぁコイツだけで事足りるぜ。」
「ちょっと、アンタら。鬼の旦那は除いて、本気で言ってんの?」
「政宗様と真田が箒類を使うとしたら・・・俺は一体何を使やぁいいんだ・・・。」
「あ。あんなところに牛蒡と葱が。」
「・・・・・・・・・」
「ちょっと、片倉さん。まさか、アンタまで・・・」
「ハッ。何を言ってやがんだ。猿飛。アレは最終手段だ。」
「どっちにしたって使う気満々なんだね、アンタ・・・。」


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「・・・。」
「真っ白殿、如何なされた?」
「・・・いや、何でもないよ。ただの思い出し笑い。」
「? 真っ白殿は笑っていなかったでござるよ。」
「うーん・・・や、只の言葉の語弊。語弊だから気にしないで。」
「ふーん・・・。」
「じゃ、始めよっか、掃除。早く終わらせて、チカさんや政宗さんのところも、手伝わなくちゃいけないし。」
「 そうでござるな。」

幸村さんに はたき を渡して埃を払うのを任せた後、バケツに水を入れに行った。

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