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105. ふどうやさん
山ください、と頼んだら 不動屋さんはすっ転んで体勢を立て直した。

「・・・金額は、どの位で?」
「金額とかは特に決まってない。とにかく、人 十人が快適に過ごせて 家は億単位を超すような豪邸じゃなくて ただの民家で事足りるけど水道・電気・熱がひかれている家。かつ 首都圏に近い物件。山はもちろん荒れ地じゃなくてきちんと森林のあるところ。森真っ盛り、並みの。」
「真っ白ちゃん、それだと最後の部分分かりにくいって。とにかく、俺達みたいな家族の住める家、って無いかなぁ?」
「い、いやお待ちください・・・と、とにかく・・なぜ、そのような物件を・・・?」
「良質な野菜を政宗様にお届けする為だからだろうが。」
「いやー、うちの旦那達 たまに暴れるからさぁ。」
「と言う訳で、近所から苦情アンド訴えられる確率が高いんですよ、私達。」
「は、はぁ・・・」
「あ。後 剣道部のサークルやってまして、その練習の為に広いスペースが必要なんです。」
「はぁ・・・では、道場とか言ったものがついた方がよいのでしょうか?」
「あ、そこまではいりませんから。俺達が使うのは少しの間ですし。」
「え、なら 何で畑の方を・・・?」
「・・・一々他人のプライベートに突っ込まなければ、この話は進まないんですか。」
「! し、失礼しましたッ!と とにかくお客様の申した条件を全て満たし、かつ 山付きの物件でよろしいですね!!?!」
「あ、山の中に家が建ってあるので。後、おてら とかは勘弁して下さい。」
「は、はい。」

そう言って不動屋さんはまた奥へ消え、何やら話し声が聞こえる。

「ちょっと、真っ白ちゃん。あんな嘘 言っちゃっていいの?俺達が 剣道部のさぁくるとかやらって。」
「手前ぇが 家族、っつーたからな。・・・大丈夫なのか?アンタの仕事にはよ・・・。」
「ん?あ、大丈夫。大丈夫。どうせ後処理の算段はついてるし。」
「へぇー。」
「なら、いいがよ・・・悪いな。」
「え、何が?」
「政宗様や俺達の為に、大金叩いちまうような真似させちまって・・・高くつくんだろ?」
「・・・まぁ。高くつくっちゃぁ、つくね。素人には届かない手だし・・・。こじゅさんや佐助さん所では、山持ちって、そこそこの身分の?」
「いや。」
「そこそこじゃないって。寧ろ・・・一国を担う将や主くらいだからね。農民は・・・地主でも無いな、山持ちは。」
「と言うか・・・山を買える、と言う事にも驚いたがな、俺は。」
「え。さっき平然と答えてたじゃん。」
「 あれは政宗様の為を思ってだ。普通、そう言う物はどっかの一族が所有してんもんだろ?」
「 まぁ・・・でも。まぁ、うん。そんな理由でそうなっちゃうとこもあるんだよ。うん。」
「ちょっとー。真っ白ちゃん。そう言う言い方だと俺達分かんないんだけどー。」
「言うのが憚れるんです。つまり、借金とかどーこーで山手放したって・・・こわー!」
「ちょ、大丈夫だって!真っ白! んな事、余程馬鹿な事しなけりゃならないから大丈夫だって!」
「・・・ん、だよね。ありがと。ちょっと落ち着いた。」
「あはは、ちょっとなのね〜・・・。」
「ん?戻ってきたみてぇだな。」

奥から不動屋さんがいくつかの資料を持って現れた。

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