11.制服から解放したい病 真田さんの手を引っ張り、トイレの場所を教えると同時に真田さんが靴を履きっぱなしだった事に気づき、玄関で靴を脱いでもらった。 自分のいた所の習慣があった事に安堵の笑みを浮かべた真田さんは、ふと気付いたように眉を八の字に曲げて掃除したらいいか、と尋ねた。 私はもう眠いし、何よりもう夜は遅い。そんな労働、明日やればいい。 明日の朝やろう、と言う主旨を伝えると、了承したでござる。と真田さんは言った。 了承したでござる?と私はつい聞き返してしまった。 なぜなら、今まで 分かったでござる。 しか聞いた事が無いからだ。 真田さんはそれに気付き、罰が悪そうに 駄目でござるか・・・?と尋ねてきた。 別に謝る事じゃないのに。私は別に気にしてないことを伝えると、真田さんの手を引っ張って、自室へと案内した。 自室に入ると、真田さんは凄く珍しそうに辺りを見回した。 私も、どうするべきか、と辺りを見回す。 真田さんを何処で寝かせるか、だ。 先程の部屋、客間で寝られると非常にまずい。 なぜなら、そこはお客さんが来られる部屋で、寝る場所と併合したくないからだ。 食事は別。一々食事を部屋に持っていくのは手間が掛かる。 真田さんは畳が少ない事に驚いたらしく、私に畳が少ない理由を尋ねてきた。 私は、ここの習慣的な事を教えて畳が少ない理由を教えた。 ざびー教?と真田さんは私の使った単語にそう反応した。 響きが外国人ぽかったので、まあそれです。と返した。 さて、先程の会話から、真田さんは余程畳と縁があったと言える。言うなれば、畳と友達。 更に分かりやすく言えば、私達がフロアを床として当たり前のように使っているのと同じ様に、真田さんところも畳を床として当然のように使っていたと言う事だ。 と言う事は、寝ている床も畳がいいであろう。 畳の上に置かれている机を退かすと、真田さんが慌てて 何か手伝った方がいいか、と言う旨を伝えてきた。 じゃぁ、机の端を持って下さい。と横にずらして向かいを持ってもらえるように頼んだ。 了承したでござる。と真田さんはそう言って、机を床の上に置いてくれた。 机と座布団、クッションを床の上に置いて、畳をベットの近くまで引きずる。 真田さんはきょとんと見ていたが、まぁ、別にいいだろう。何かしてもらおう事は無いし。 私は押入れへ向かって、何か布団代わりの物を探す。 だが、やはり冬用の羽毛しかない。 ・・・とりあえず持って行って畳の上に広げる。 今使っている布団と羽毛の布団を見比べて、やはり駄目だと思った。 暑すぎる。これじゃぁ暑すぎる。 とりあえず羽毛の布団を折り畳んで足元の傍に置く。 そして再度押入れへ向かい探すが、代わりの布団は無く、代わりに夏暑い時に使うタオルケットがあった。 仕方がない。 真田さんには悪いが、これを使って貰おう。 そう思い、真田さんに旨を伝えてここで寝て貰うように頼んだ。 急に涙ぐんでお礼を言った真田さんに慌てたが、とりあえず落ち着かせる事にした。 「真田さん、困っている事は本当に、お互い様なんですから。」 と、ぐずぐずと鼻を啜って泣いている彼に言った。 だが、彼を心配する一方、私の身体はいい加減眠りにつきたかった。いや、ぶっちゃけ寝たかった。 じゃぁ寝ればいいと思うが、このまま彼を見捨てたら自分が許せないのだ。だから彼が落ち着くまで私は彼の言葉を聞くし、彼の傍にいる。だが、脱ぎたい。せめてこの服を脱ぎたい。ぶっちゃけ家に帰ったのだから仕事服から解放したい。 ぶっちゃけた事言うと、私は学校や仕事場帰ると、即それ用に来た服(制服なんか)を脱ぐタイプだ。 なんと言うか、解放感がね。やったー!自由だー!みたいな。学校や職場からの解放?が欲しいタイプ。っつーかぶっちゃけ必要です。 だから彼が落ち着いた頃合いを見計らって、「ちょっと着替えてきます」と言って、洗い場へ急いだ。 すまん、早く脱ぎたかったのだ。 そう心の中で言い訳して、着替えを持って洗い場へ急ぐ。 何かあった時はあそこへ呼びに来るように、と伝えながら。 ちなみに。 エムぺさんの時間切れで消滅した11.は、これの幸村ver.でした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |