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104. ふどうやさん
不動屋さんに着いた。不動屋さんの人が出てきて「ひっ」と言ってから私達に席を勧めた。・・・こじゅさんの威力、すでに発揮されてる・・・。
とりあえずその考えを捨てて、不動屋さんに勧められた席に座る。こじゅさんと佐助さんが私を挟むように座った。不動屋さんが「今日はどのようなご用件で?」と尋ねてきた。家 と答えておいた。不動屋さんが聞き返してきたので、今朝メモって置いた紙を取り出す。

「えーっと、日当たりがよくて、綺麗な川がすぐ近くにあって、近所に迷惑がかからなくて、畑に適した土壌で・・・」
「え。ちょ、ちょっとお待ちください・・・」

と言って、不動屋さんは奥に引っ込んだ。まだかなぁ、と思って待ってたら 不動屋さんが大量の資料と共に現れた。

「えーっと・・・何でしたっけ?」
「日当たりがよくて、綺麗な川があって釣りが出来て、・・近所に迷惑がかからなくて、畑に適した土壌がある所。」
「・・・えーっと、つまり・・・こちらはどうでしょうか?日当たりと家庭栽培をなさるには丁度いいかと・・・」
「此処は駄目だ。近くに道路が通ってるじゃねぇか。政宗様が口に含まれるんだぞ。もう少しマシなもん選べや。」
「ひっ! す、すみません・・・ッ!!」
「・・・えーっと。出来れば首都圏に近い田舎で、お願いできませんか?多分、そこだと 全ての条件が満たせるのがある筈なんで・・・。」
「! 首都圏に近い田舎ですと・・・こちらはどうでしょうか?」
「うぅん・・・。」
「・・・あー・・・それは止めときますわ。うちの旦那達、滅茶苦茶騒がしいんで。」
「え?それはどのくらい・・・」
「・・・多分、訴えられる位・・・。」
「! しょ、少々お待ち下さい・・・!」

と言って、また不動屋さんが奥へ消えた。
こじゅさんと佐助さんが 不動屋さんの残した家の資料をガサゴソと探して見る。

「チッ。どれもこれも全部 道路に面してるじゃねぇか・・・。」
「と言うか・・・殆ど真っ白ちゃんの探した物件だよね、これって・・・。」
「や、条件だけが一致してるだけだと思うけど…。」
「だが これだと埒が明かねぇんじゃねぇのか?どれもこれも全部 政宗様とアイツ等の言った条件の一つか二つしか当てはまってねぇじゃねぇか。」
「うーん・・・・・・あのさ。」
「あ?」
「ん?」
「ぶっちゃけ・・・山持ちになると、どうなる?」
「・・・山持ち、って言うと?」
「・・・うーんと、山間に家を持つと言うか何というか・・・山の中にある家を持つ、って 意味かな・・・。」
「・・・んー・・・俺様の立場から言わせてもらえば、山の中だと俺達の他に誰もいないっしょ?身を隠すにも もってこいの場所だと思うし、鬼の旦那はともかく、毛利の旦那や うちの旦那は山に慣れてるから・・・いいと思うよ?誰の迷惑にもならないし。」
「俺は賛成だぜ。少なくとも、道路沿いよりぁ マシな野菜が作れそうだからな。」
「ふむ・・・そ、っか。」

・・・正直なところ、あまり余計な出費はしたくない。だが、今後の事を考えれば・・・ま、慰安にはちょうどよくなるか。休暇の場所としてはピッタシになるだろう。マイナスイオン放射の場所だと思うし、山。世の中の事忘れてゆっくりする時には最適だと思うしな。
奥から不動屋さんが何枚かの資料を持って現れる。
不動屋さんが自分の席に着くのを見計らって 出だしをとった。

「すみません、山有りの家ってありますか?」

ぶっちゃけ、ネット上で見たのは全て れおぱれす とか あっとほおむ とか言ったチェーン店系列のものばかりだったので もしかしたらと思って いざと言う時の大物狙って個人店を当たってみたのだが・・・。

不動屋さんの店主は椅子から盛大な音を出して、自分が持ってきた資料と共に床へ転んだ。

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あきゅろす。
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