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10.ちがい
「・・・すまなかった。」

真田さんは私の肩をずっと力強く握っていた事に気づいたのらしく、悪そうに私の肩から手を離した。
いいですよ、と私は返してから、再度窓の外を見る。
真田さんも窓の外を見た。

「・・・本当に、某のいた世界とは、違うのか・・・・・・?」

真田さんは遠く、そして悲しそうな目で窓の外の景色を見ていた。

「えぇ、そうですよ。」

と、私はきっぱりと言った。

「・・・じゃぁ、真っ白殿のところでは、某のところと同じように、着物や袴を身につけるのでござるか?」

真田さんは私の羽織っている羽織と着物、袴を指さしてそう言った。

「あ、あぁ。いいえ、皆これと同じものを着ているわけではありませんよ。」
「じゃぁ、他の者は一体何を着ていると言うのだ?」
「あぁ、それは・・・後で見せますから。」
「後?」
「ええ、後。」

真田さんはクエスチョンマークを浮かべたまま、私を見る。

「それよりも、他に言いたい事があります。」
「他?」
「えぇ。私達の世界では銃刀法違反と言う、銃と刀は使っちゃいけねぇぜ!御法度野郎!!と言う、銃と刀の所持が見つかったら即牢獄行きと言う恐ろしい法があるので、それを持ち歩かないで下さいね。」
「牢獄っ?!!」
「うん。」
「しかし、外は危険ばかりでござるよ!?一体、どのように真っ白殿達は自分の身を守っているでござるか?ハッ!まさか、佐助のような者達が真っ白殿達一人一人についておられるのか?!!」
「いや、無い、いや、無い。こちらで言うボディーガードと言うやつは、それは余程の権力者・・・まぁ、一国の主か余程の金持ちではないとつきませんね。金掛かりますし。」
「・・・じゃぁ、どうやって・・・。」
「・・・。」

この言葉を言っていいものか迷ったが、後で付け出せばいいと思い、この言葉を吐いた。


「この世界が、平和だからですよ。」
「・・・平和?」

真田さんはそう反復して目を輝かせたが、きっと次に続く私の言葉でそれは崩れ去られるだろう。

「しかし、仲良くやっちゃいません。」
「・・・なかよく?」
「・・・えぇ。」

真田さんは不思議そうに私を見る。
きっと、彼の中では 平和=皆仲良し の方程式が出来上がっているのかもしれない。実際の所はしらないが。
私も、実際にそのような方程式が出来上がればいいだろうが、無理だろう。

「皆、自分達の事ばっかり考えているんです。他の人の為に、なんて考えて下さる方もいます。しかし、そんなの一握りの人達だけ、後はみぃんな、自分達の事ばかり考えている人ですよ。だから、惨殺な事件も起きちゃったりする。」
「惨殺?」
「・・・真田さんところにはありますか?親殺しとか一家惨殺事件。」
「!」
「……まぁ、似たような事があるかもしれません。だけど、私達の世界には、そんな事は滅多にありませんし、皆 そんな事には無関係だ って言う顔で日々を送っています。」
「・・・・・・。」
「・・・命の危険は、ありませんよ、多分。私達の世界では、殺人を犯さずに働いてさえいれば老衰で死ねる事もあるんですから。」
「・・・。」
「ですから、槍の手入れはここでしてもいいですから、外には持ち出さないで下さいね。流石に私も、言い訳が苦しくなりますから。」

そう言いきって、他に注意事項は無いかと探す。


「・・・真っ白殿達は・・・」
「はい?」

真田さんが呟いた言葉に反応して、思考の波から意識を浮き上がらせる。



「それを、平和と呼ぶのでござるのか?」



真田さんの問いに、私は苦笑で答えた。

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あきゅろす。
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