1.犬を拾う
指を折って残る仕事の数を数える。
いち、に、さん・・・あぁ、後五つもあるのか。
頭の中で今後一週間・・・あぁ、あの課題、明々後日までじゃなかったか。やばい、あれ、面倒くさい。どうにかして時間を見つけないと・・・。
よし、アレを利用しよう。そうすれば掛かる時間は半分になるはず・・・・・・。
頭の中で悶々と今後のスケジュールを組み立てていると、電灯の下に赤い塊が見える。
あたりは暗闇、黒。
真っ暗黒すけだ。コンクリートで区切られた垣根の隙間から家の光が漏れている。今じゃ人間が怖い時代、OLのお嬢様や奥さま方々にとっては危険な時間帯だ。
そんな事を考えながら赤い塊に駆け寄る。
お。鋭い刄発見ー。
どうやらこの人は槍を持っているようだ。しかも二。二本だ。
髪は茶髪でへそ出しかー。上にある電灯の明かりのおかげで大体の背格好は掴める。
しかし、俯いている為にどのような形相の人物かは分からない。まぁ、どうでもいいけどね。
まぁ、一言で言えば、ただの変人かコスプレイヤーか変人か変人か普通の人かのどちらかだ。
まぁ、武器は本物の様だし、普通の殺人者や快楽殺人犯だったらこんな所で寝てやしないし っつーか、既に起き上がりに掛かってくるだろうよ。
しかし、私も一度は一宿の恩を受けた身。わざわざ、同じように困っている人を見棄てる事はしないでいいだろうし、違ったら違ったで、暫く留まらせればいいだろう。
よっと一つ息を吐いて、赤い塊―いや、気を失っている?―の脇に腕を差し込んで肩をガッシリ掴んで帰路に着いた。
途中で会った交番さんには「ただの知人です」とでも答えておいた。
「情けは人の為にならず」の正答に近い考えを持つ人
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