◆Before
7
それ以来口淫で済む日ばかりではなくなった。
嬲るように身体を弄ばれ、言葉で詰りながら攻め立て追い上げられて、理性もプライドも粉々に打ち砕かれる。
泣きながら許しを乞うと男の態度が豹変し、子供をあやすようなそれになる。
それは経験として脳裏に刻み込まれていった。
気持ちが休まるのは日常を感じる事のできる日中と、父親が出張に出る数週間の間だけ。
学校でふざけあって貴仁達と泊まりがけで遊んで、父親の帰った夜には習慣のようなそれが待っている。
「ひ…あ…っと…さ…ぁ」
「いい子だ」
額に落ちるキス。
自らの両足を抱えて後孔に穿たれた武骨な指に涙を零す。
飲まれてしまえば行為の異常さを感じる余裕もない。
縋るように嗚咽を漏らし、従順に肢体を跳ねさせる。
「もうこんなに柔らかくして」
「あ…っぁ…」
潤滑油を垂らされたそこは初めのように痛みを感じることはなくなった。
ただ得体の知れないもどかしい熱を生み出す。
「痛くないだろう」
「っ…き…もちい…っ」
教え込まれた言葉。
途切れると暗い室内に響く卑猥な水音がやけに大きく聞こえた。
「…だから?」
答えを促すように内壁を掻き回す指に身体が跳ねる。
「…へ、ん…っあ…わかんな…っ」
「…分からない?」
低くなった声音に間違えたことを知る。
「あっ…!あ、ひぁ…っ!」
しこりを押し込まれて悲鳴をあげた。
電流が流れたように四肢が痙攣し、膝を抱えていた手が無意識に離れる。
秘部を蹂躙する男の手に触れた瞬間、捻り上げられた。
「っいぁ…っあ…」
がくがくと下肢が跳ね、逃れようと身をよじる。
「ごめ…っなさ…ぁっ」
「雪也、どんな感じがする?」
過ぎる刺激は苦痛でしかない。
「っ…き、もち…いいっ…」
「それで?」
「……っ」
求められている言葉が分からなかった。
追い上げるのは体内に埋め込まれた指一本で、張り詰めた自身に与えられる刺激は何もない。
また間違えれば何をされるのか、恐怖が込み上げる。
「っ…めんなさ…!」
パン、と軽く頬を張られた。
男の手が顎を掴み横に倒れた顔を上向かせる。
強く力をこめられて微かに呻き声が零れた。
「っ…」
「『もっとして下さい』だろう」
増やされる指に脅すような低い声。
しゃくりあげながら唇を震わせる。
「……もっと…っして、ください…っ」
こんなのは嫌だ。
もう止めて欲しい。
気の済むまで蹂躙し犯した後、雪也に達することを許さないままに自らの欲を吐き出すと、男は部屋を出て行った。
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