◆Before
2
寝付いて間もなく、部屋のドアが開く音で目を覚ました。
はっきりとしない意識の中で人が入ってくる気配を感じた。
「……父…さん…?」
目を擦りながらその姿を探し、視界に入った黒い人影を追いかけた。
「…どうしたの……?」
先程何か話し忘れたことでもあったのだろうかとぼんやり考えていると、ふいにベッドのスプリングが大きく軋んで影が身体を覆った。
父親であるはずのその人が無言のまま衣服の上から雪也の身体に触れる。
「…な…に……」
耳元に荒い息遣いが触れた。
徐々にクリアになる意識が異様な雰囲気を察知する。
逃れようと身をよじると、突然身体をまさぐる手つきが荒々しいものへと変わった。
「っや…!なに…っ?やだ!」
起き上がる前に背後から抱きこまれて身動きがとれなくなる。
男の手が衣服の中に入り込み素肌を這い回った。
「…や…っやだ……っ!」
抗えない体勢で身体をまさぐられる不快感に声をあげる。
聞こえているはずの相手にいやだと何度も繰り返した。
「……大人しくしなさい」
ふいに落ちた低い声にびくりと肩が跳ねた。
震える両脚を男の手が割り開き下腹部に手が触れる。
唇から息を飲むような悲鳴が漏れた。
男の手が他人に触れられたことのない未発達の自身を握り込む。
「っ…な…に……」
強張る身体は抗う事さえ忘れたようにただ震える事しかしなかった。
柔柔とした刺激を与えながらもう片方が胸の飾りに伸びる。
震える息を吐き出して、なぜこんなことをされるのか分からずに涙が滲む。
ただ早くこの時間が過ぎることを願いながらシーツを握りしめて不快な感覚に耐えていた。
かかる言葉も発する言葉もないまま行為は続き、けれど圧を感じる事しかなかったそこはやがて他の感覚を覚え始めた。
「っ……あ…っ…」
ふいに零れた声に驚き伏せていた瞳を見開く。
次々に沸き上がる感覚に唇をきつく噛みしめて抗う。
「……声を出してごらん」
耳元で男が囁いた。
歯を立てた唇を指先が撫で、強引に割って咥内に入りこむ。
徐々に自身を刺激する手の動きが速められて得体の知れない熱が込み上げた。
「っあ……あ…っやぁ…っ」
せめてもの抵抗に、いやだと首を振る。
息が上がり指先がシーツに皺を作った。
腰に押し付けられる固さの意味を考える暇もなく、目の前がスパークする。
「――っ!!」
幼い身体を数回跳ねさせた後、ゆっくりと弛緩した。
痙攣するような震えが止まらないまま、乱れた呼吸を繰り返す。
「…まだ出ないのか」
呟かれる言葉が頭をすり抜ける。
あまりのショックに声も出せずただ涙が溢れた。
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