◆Before
9
背後で男が低く笑った。
「あのガキが好きなのか」
「っ…」
幼稚園から一緒。
近所で歳の近い子供は二人だけで、貴仁とも貴仁の家族とも親しげに挨拶を交わしていたのに。
穿たれる熱は未だ雪也を苛み、その変貌ぶりが悲しくて涙が溢れる。
「せっかく教えてやったんだ。誘ってみたらどうだ」
「ふ…ぅ…っ」
詰る言葉と感じる快楽がないまぜになった嗚咽が零れた。
冷たい壁に縋りながら揺さぶられ、何度も崩れる身体に男が痺れを切らしたように、乱暴に片足を取り上げる。
「っ…あぁ…っ」
「やりたい盛りだ。きっと喜んで突っ込む」
より深く感じる熱。
元々逃げ場はなかったが、更に自由をなくして、空気に晒された秘孔を思うがままに犯される。
性欲を解消するための道具そのものだと思い知る。
背後で男が低く笑い、苦痛を生み出す抽挿に喘いだ。
「想像して感じたか?こんなに締まりを良くして。お前のここは女の穴より具合がいいよ」
違う、違うと声もなく首を振る。
解放されてずるずるとその場にへたりこんだ。
身体が軋み、酷く扱われた後孔が熱を持って鈍く痛む。
肩で息をしていると髪をつかまれ、壁に頬を押し付けられた。
「っ…」
濡れた不快な感触。
「雪也が出した物だよ」
「……」
考える気力もなく、男の言葉を理解することを放棄する。
より強く押し付けられて痛みに掠れた声が零れた。
「自分が汚したんだ。きれいにしなさい」
片付けたくても髪は掴まれたまま。
「雪也」
促す声に気圧され、小さく舌を出した。
壁を伝う白濁を舐めとると男が嘲笑う。
「来週には母さんが来る。気付かれないよう綺麗にしておけ」
「っ」
乱暴に頭を離され、したたかに額を打ちつけた。
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