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◇Other
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「やだって…っやめろ、やったら殺す!マジで…ッ!」

「うるせーな」


 一応渚が心配で様子を見に帰ったら、案の定ダウンしていた。
 ただならぬ空気を感じてすぐに帰ろうとしたところを、怠くて動けないと縋られて、そこに留まったのが間違いだった。

 死んだようにじっとしているかと思えば突然キレたように暴れ出す。
 見たことがない訳じゃない。
 兄貴も兄貴の仲間達もアパートでそうなっていたから。
 けれど大抵の奴は耐えきれなくてそこでまた薬を入れてた。

 それとなく置き場所を尋ねると、渚は苛立ちながらも「今はやらねぇ」と頑なだった。
 ここでやるから中毒になるのだと。

 そんな言い分を聞きながら、でもどうせいつかまたやるんなら同じだと思っていた。
 身体的には中毒になっていなくても、精神的には十分依存している。
 千鳥の言っていた意味が今頃わかって、少し怖くなる。

 そこで帰っていれば良かった。

 苛立ちが紛れるからと強請られて、口淫をしている最中に、渚はべつのをキメてた。

 そして今はそれをこちらまで強要している。

「やめっ…いやだって、渚ぁ」

 渚の長身に背後から抱き込まれると逃げられなかった。
 必死で抗いながら泣きの入る様を見て渚はずっと笑っている。

「はは、それすげぇそそる」

 笑いながら口を塞いでくる。
 鼻も塞がれて息苦しさで喘いだ所で口の中に異物を押し込まれた。

 吸い込んだ煙が喉を刺激してむせる。

「下手くそ」

 頭の上で渚が笑ってる。

「波乃さぁ、やってる最中声出さねぇからつまんねんだよ」

「んっ…ふ…」

 すぐにまた口を塞がれて同じ事を何度も繰り返された。

 その内頭の芯が痺れてきて、なんだか全部がどうでもよくなった。



 その後のセックスは最悪だった。

 声が出るようになって渚は喜んでいたけれど、そんな渚が怖くてたまらなかった。
 気持ちいいも何もあったもんじゃない。
 パニック状態の人間を押さえつけて、渚は笑いながら犯していた。
 素面でレイプされる方がずっとマシだって思うような、そんな酷いセックス。



「誰でも一度は通る道だから」

 だけどそのあとの渚は気味が悪いほど優しくて、それだけで荒み果ててた心は凪いだ。




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