ネクロフィリア(屍姦)注意!




0

きっとオレは異常なのだろう。自分が誰よりも愛する人の死を望むなんて。



ambivalence
-相反する感情-




1

屍姦趣味というのは母親の寝顔から倒錯され、それが性的欲求に変わるという精神病の一つでもあった。確かに幼い頃見た母親の寝顔はずいぶん印象的で、両親が死んだ後、それは沸々とオレの中に溜まりつつあったのかもしれない。それがふと、覚醒し、オレの心の中に黒いもやとなって発生し始めたのはツーマンセルを組むデイダラの寝顔を見た瞬間からか。
可哀想に、デイダラは連日の過酷な任務から彼は寝息一つ乱さず熟睡している。その姿はまるでまだ幼い子供のようでもあったから。まず首をさする。この細くてあどけなさが残る首はさらりとした金色の髪がかかり、それを優しく除けて首に手を掛ける。軽く回しただけだが、デイダラの眉はひくりと動く。しかし彼はいっこうにおきようとしない。

「デイダラ。」
瞼に口付けを送る。ああ、温度すら感じられぬ。だから死体でも生きていても、同じじゃないか、と。オレは今一度考えた。殺そうか、生かそうか。



2

デイダラは最初こそオレを警戒したが最近ではオレの前でよく笑い、オレのことを彼なりの愛称で「旦那」と呼ぶようになっていた。オレは彼の全てが好きだった。オレがもっていない空色の瞳も、輝く金色の髪も、健康的な白い肌も、人間的、且つ忍らしくない豊かな表情も。
「だんなー」
まだ幼い彼には酷なことだが、今日こそ彼を殺してしまおう。そしてずっとオレのそばに置こう。淀みは深まるばかり、しかし彼の寝顔をいざ見ると自分の残りの良心が戸惑ってしまう。ああ、まだ彼の笑顔を見つめていたい。

矛盾する性癖と心理。ああ、いつまでこの日々は続くだろうか。



3

今日、彼の爪を貰った。貰った、というよりは彼が戦闘中で剥がれた爪を拾っただけだったが。もちろん彼は痛みを訴える事無く平然と笑っていた。オレはマニキュアでコーティングされた黒い爪を彼に悟られないように拾い、口付けた。そのあと、彼の爪を剥がす現況となった忍は跡形もないくらいにズタズタにした。そいつを犯す気にはなれない。オレは愛した人しかヤらない紳士だから。

この爪をどうしよう。そう考えると笑みが漏れる。



4

今日もオレは眠る事無く愛おしいものの寝顔を見つめている。それは幼い頃見た母親の寝顔を重なり、これまで殺して犯してきた人間達をも思い浮かばせる。あの首を絞めながらオレは絶頂を迎えるのだ。恐怖とオレに対する畏怖の眼差しを向けながらこいつは死ぬ。その表情を想像しただけでぞくぞくするよ。だけど一回犯しただけじゃ到底足りないから、何日も、何年もお前の穴を貫いてやるよ。
きっとその間にもお前は腐って、骨になっちまうかもしれないけれど、オレはかまわねぇ。むしろお前の骨を食ってしまいたい。空腹を感じることはないオレだけれど、お前がオレの体を満たしてくれるなら、本望だ。

翌朝、お前はおはよう、と何時ものように笑いかける。今夜もオレはお前を殺すことは出来なかった。一体オレは何をやっているのだろうか。早くお前のその体に舌を這わせて、その腕の先にある爪の中まで嘗め尽くしてしまいたい。ああ、愛おしいよ。苦しいよ。こんなに他人を愛することが出来たのは初めてだ。



5

今日こそデイダラを殺そうと、彼が眠っている隙にコートのボタンを引きちぎる。布が裂ける音にデイダラは過剰に反応し、オレの目を見つめた。デイダラの目は驚きと未だに現実を受け入れられないようで、何が怒っているのか分かっていないらしい。
とにかくオレは夜気に晒された体に手を這わせると、デイダラはようやく事態を理解したようで小さく悲鳴をあげた。彼は抵抗し始め、誰も居ない森の中で“助けて”と叫びだした。無論、この反応は予想していた。今まで屍姦してきた人間達もこうであったから。

ああ、それでもデイダラ、聞いておくれ。恨んでも構わない、殺したいと憎んでも構わないから。どうか嫌いにならないでくれ。お前の命を今から奪うオレが言えた台詞ではないけれど。



the end

夜の森に叫んだ声は今でもオレの核を抉るように悲痛で。きっとこの行為が終わる頃には、オレの中の良心がズキリと軋みだし、永久に続く苦しみを与えるだろう。






あきゅろす。
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