若干現代モノ、ペイコナ70歳






夕陽の色を見ると無性に悲しくなる。白い部屋で静かに息を引き取った彼の髪の色を思い出すからか。年を老いてもその鮮やかさだけは鮮明で、白髪混じりの彼の髪も、刻まれた皺も、少しささくれ立った掌も、私は愛していた。
遠くから海の小波が聞こえる。キレイな、音。彼が大好きだった音。涙がそれにつられて、スッと落ちていくのが分かった。嗚咽を漏らして、咳払いをすると忘れたはずの汐の香りがフワリと鼻腔を擽って、冷たくなった旦那の死に顔が鮮明に蘇る。彼はこの世に居ないのか、そう感じると理解していたはずの彼の死も、また余計に悔やまれてしまう。
はるか西の空から光りが注いでいる。そこをたどっていけば夫が待つ天国へつけるのだろうか。手を伸ばす、海の風が私の肌を撫でてそれを誘導する。ああどうか、届いて。この魂と彼への想いごとそこへ連れて行って。そして




(ごめんなさい)(でも優しい貴方なら)






あきゅろす。
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